2022.11.05 08:45
〝高知産〟ラグビー用車いす、俺らの手で作るぜよ! 県工業会有志と池選手が協力
池透暢さん=右=のラグ車を撮影する県工業会の土田哲郎さん(高知市春野町内ノ谷の県立障害者スポーツセンター)
車いすラグビーはパラリンピック種目で唯一、車いす同士のぶつかり合いが認められており、試合中は強い衝撃で選手が転倒することも。その分、頑丈さが必要なためアルミ製やチタン製が主流で、1台100万円を超す海外製のオーダーメードも珍しくない。
池さんが所属するチーム「フリーダム」が体験イベントで用いるラグ車は、約20年前に県立障害者スポーツセンターが購入したものや、選手のお古が中心。チームは体験用ラグ車を修繕しながら、教室の謝金を遠征などの運営費に回している。
県工業会受注拡大委員長の土田哲郎さん(47)=森岡製作所社長=らは昨冬、池さんに講演依頼した際にそうした事情を聴き、「いきなり競技用ラグ車は難しいけど、体験用ならできそう」と考え、工業会からの寄贈を提案した。
有志は3Dスキャンした池さんのラグ車のデータを基に、県産業振興センターの協力を得ながら設計図を作製する。池さんから助言を得つつ、まずは鉄を素材にして試作品を製作。その上で、素材やデザインを改良していき、来秋までに完成品を仕上げる予定だ。
ラグ車には頑丈さに加えて、機敏に動ける軽さも求められる。できる限り薄い鉄パイプを曲げたり溶接したりしてフレームを作るつもりだが、土田さんは「まだ手探りの状態。軽さと強度のバランスが難しくなりそう」。
フリーダムの選手による車いすラグビーの体験イベント(9月4日、高知市秦南町1丁目)
県外では、東京都大田区の町工場が冬季五輪の採用に向けボブスレー作りに挑戦している例も。土田さんは「ハードルは高いけど、県工業会も県外に負けない技術力がある。高知で頑張る池さんやフリーダム、車いすラグビー全体を盛り上げたい」と話す。
池さんも「ものづくりの県工業会ならではの協力。つながりのなかった皆さんが応援してくれるのはありがたいし、車いすラグビーを幅広い人に知ってもらうきっかけになる」と喜んでいる。(大山泰志)