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2022.10.26 08:39

高知県文化賞に四国フィルハーモニー管弦楽団と稲垣典年さん(県牧野記念財団アドバイザー) 11/3表彰式

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 高知県の文化向上に功労のあった個人・団体を表彰する本年度の県文化賞は、県牧野記念財団アドバイザーの稲垣典年さん(81)=岡山市=と、本県を拠点に活動している「四国フィルハーモニー管弦楽団」(事務局=高岡郡日高村本郷)に決まった。表彰式は11月3日、高知市本町5丁目の高知会館で行う。

「植物は自分の人生にとって『生きる力』」と語る稲垣典年さん(高知市五台山の県立牧野植物園)

「植物は自分の人生にとって『生きる力』」と語る稲垣典年さん(高知市五台山の県立牧野植物園)

植物と牧野に導かれ
県牧野記念財団アドバイザー 稲垣典年さん
 植物を意識した最初の記憶は室戸小4年、学校でけがをした日の帰り道。付き添ってくれた医務室の先生が、道端の草花を指しては「あれは○○。こっちは○○…」と、一つ一つ名を教えてくれた。

 「植物が好きだと考えたことはないけど、自然と導かれた」。気付けば、夏休みに採集するものが昆虫からシダ植物に変わっていた。毎年「一つでも多くの種類を集めたくて」山を駆けずり回った。高岡郡佐川町出身の植物分類学者、牧野富太郎博士の「牧野日本植物図鑑」を懸命にめくるようになった。

 博士も拠点とした東京の小石川植物園などを経て、1970年に県立牧野植物園の職員に。職員7人、約2ヘクタールだった園を「世界に通用する」よう磨いてきた。園地整備や植物の収集・研究、貴重種の保全に長く励み、今では「現代の富太郎やね」と評する人も。

 今回の受賞を「絵や書だけじゃなく、植物に関わる活動を『文化』として認めてくれたのはうれしい」と笑顔。今の目標は「全国を歩いた牧野が、各地でどんなことをしたのか。記録を収集し足跡を明らかにしたい」。植物に導かれ、歩み続ける。(森田千尋)


創立35周年記念演奏会で豊かな音色を響かせる四国フィルハーモニー管弦楽団(3月、高知市本町4丁目の県民文化ホール)

創立35周年記念演奏会で豊かな音色を響かせる四国フィルハーモニー管弦楽団(3月、高知市本町4丁目の県民文化ホール)

いい出会いに感謝 徹底して音楽を追究
四国フィルハーモニー管弦楽団
 「〝私利私欲〟のオーケストラをつくろう!!」

 1987年、高知と愛媛の両県を中心に若い奏者が集まり、四国フィルハーモニー管弦楽団が誕生した。私利私欲という刺激的な言葉を掲げて目指したのは、自分たちのために徹底していい音楽を追究すること。その先に、一人でも多くの人に喜ばれ、地域の文化振興につながる音楽がある、と考えている。

 現在、団員は20~60代の約50人。四国以外に東京や大阪、島根などから集う。年1回の定期演奏会、家族向け公演やオペラ、バレエ公演と活動の幅は広い。一流指揮者、奏者との協演も多く、「いい人と出会い、今がある」と設立発起人の一人で運営委員長の中山直之さん(57)。難病と闘う子どもたちのためのチャリティー公演も行ってきた。

 新型コロナウイルス禍で公演ができず、ようやく今年3月、高知市内で創立35周年記念演奏会を開催。小林弘和団長は「会場で音楽をつくりあげる喜びを改めて感じた」。受賞の知らせに「団員から創立50年まで頑張らないかんねって。運営の責任重大です」と中山さん。旗揚げ時から変わらぬ情熱で一丸となって音楽と向き合う。(竹村朋子)

高知のニュース 日高村 自然・植物 音楽 牧野富太郎

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