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2022.10.24 08:33

裏方と選手の二刀流を磨く 高知県スポーツ協会主事 清遠隆介さん(25)高知市―ただ今修業中

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「選手の目線も交えて高知のスポーツ界をサポートしたい」と話す清遠隆介さん(高知市丸ノ内1丁目の県庁西庁舎)

「選手の目線も交えて高知のスポーツ界をサポートしたい」と話す清遠隆介さん(高知市丸ノ内1丁目の県庁西庁舎)


 各競技団体への補助金配分に指導者講習会、国民体育大会の県選手団の事務局など、担当業務は幅広い。自席後ろの棚は県スポーツ協会に加盟する、60の競技団体の資料でびっしり。ファイルの数だけ、スポーツに親しむ人の顔が見えるという。

 同時に、現役の重量挙げ選手でもある。バーベルを担いで1年にも満たないが、10月の栃木国体に67キロ級の県代表として出場した成長株。各競技団体側も「選手の気持ちを分かってくれる」「相談しやすい」と、“兼任職員”を歓迎している。

 「競技力向上や健康増進のために、協会はなくてはならない縁の下の力持ち。支えてもらう立場にもなったからこそ、一層やりがいを感じます」
 
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 安芸郡芸西村の農家の三男。兄姉3人と、幼い頃から地元の陸上クラブ、芸西JACへ。芸西中から進学した追手前高では走り幅跳びに打ち込み、1、3年と国体に出場した。愛知・中京大でも陸上部に入り、「いつも身近にあったスポーツに関わる仕事を」と思うように。縁あって2019年に県庁入りした。

 県庁マンのスタートは、地域観光課。体験型旅行のブラッシュアップに関わった。熱望した「スポーツに関わる部署」ではなかったが、乗馬やカヌー、ラフティングなど数々のメニューを知り、「高知の魅力を実感できる良い機会になりました」。

 昨春、念願だったスポーツ課へ。職員11人の県スポーツ協会に派遣され、11競技を任された。ボートやなぎなた、クレー射撃など初見の競技も多数。「『練習器具が欲しい』と補助申請があっても、用途を確認し、必要性を判断するには競技を知らないと」。ルールを学ぶところから始めた。

 選手を支える側になって分かったのは、競技団体の事務の大変さ。遠征や合宿、強化などに欠かせない補助金の申請や会計処理、活動報告など、県に上げる各種の書類づくり作業が盛りだくさん。団体役員を兼任する選手自身がボランティアで担っているケースも少なくない。

 どうすれば事務処理をスムーズにできるか。「書類作成に時間を取られ、練習の時間が少なくなってしまうのは本末転倒ですから」。時間を見つけては各団体へ足を運び、相談に乗る。「いろんな人のおかげで競技ができていたんだと分かりました」。学生時代には思いもしなかった裏方の大切さを実感する毎日だ。
 
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好きな言葉

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 “二刀流”は昨年末、国体重量挙げ競技の監督を務める先輩職員から練習の見学に誘われたことがきっかけ。代表候補にすら事欠く窮状を知り、思い切って1週間後の県冬季大会に出場。「自分の記録に挑戦するところが、陸上と似て面白い」とはまり、国体四国予選を制して栃木国体出場を決めた。

 本番では選手としてだけでなく、本業の県選手団役員として各競技への激励や役員視察の行程づくりなどに大忙し。自身の試合は21位に終わったものの、協会で担当している弓道や卓球、カヌー、ライフル射撃の入賞が続々。「めっちゃうれしかったし、自分自身の励みにもなりました」と相好を崩す。

 目標は大きく、「スポーツを通して、県民みんなが元気で健康な高知にする」。“二刀流”を磨きつつ、高知のスポーツシーンを盛り上げる。

 写真・森本敦士
 文 ・横田宰成

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