2024年 05月09日(木)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.10.22 05:16

子どもの日本国籍取得に“壁” 18歳成人で、懸念の声

SHARE

 JFCネットワークが公表した国籍法の年齢要件引き下げの見直しを求める意見書

 成人年齢を18歳とした改正民法施行に伴い、認知によって子どもが日本国籍を新たに取得したり、再取得したりする際、届け出が可能な年齢が「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げられた。準備や手続きに充てられる時間が短くなることで、取得の機会を失う子どもが増える可能性があり、フィリピン人と日本人の親を持つ子どもを支援するNPO法人「JFCネットワーク」(東京)が10月、制度の見直しを求める意見書を公表した。


 日本国籍の取得や離脱は国籍法に定められており、民法と同じ4月に改正法が施行され、年齢要件が引き下げられた。このうち「認知による国籍取得」については以前は日本人の親を持つ未成年者が親の認知を得た上で、20歳未満までに届け出をすればよかった。しかし改正後は18歳未満に引き下げられ、期限が2年早まったことになる。


 また日本人の親を持ち、海外で生まれて外国籍を得た子どもは、日本国籍取得の留保手続きをしないと、出生までさかのぼって日本国籍を失う。こうした場合は再取得が可能だが、その届け出の期限も18歳未満までとなった。


 年齢要件の引き下げで最も影響を受けると考えられているのが、日本人とフィリピン人の親を持つ「ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン(JFC)」と呼ばれる子どもたちだ。


 ネットワークによると、1980年代以降、出稼ぎのため来日し、飲食店などで働くフィリピン人女性が増加。日本人男性と出会い、結婚を経て生まれた子どもが日本国籍を取得する一方、結ばれずに生まれた子どもを連れてフィリピンに帰った人も多い。さらに、フィリピンで生まれ、親が留保の手続きを知らず、日本国籍を失った子どもも少なくない。


 ネットワークは94年以降、こうした子どもの父親を捜し出し、認知を得るなどの支援に取り組んできた。2021年12月末までに国籍の取得や再取得につなげたのは433人に上るが、このうち3割に当たる131人は届け出時に18歳以上で、法改正後の年齢要件では日本国籍が取得できなくなる事例だった。


 「日本のパスポートを持つことが最大の夢であった私にとって、大きな衝撃。成人年齢が18歳に突然変更されたことで、私の夢はかなわなくなった」。ネットワークには日本国籍取得を目指す当事者から落胆の声が寄せられているという。

(c)KYODONEWS

国内・国際 N社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月