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2021.10.25 19:03

爆発!!Y2スタジアム 高知市介良のUFO伝説 真相解明へインタビュー 遠藤周作さんも信じた? 何と情けない… 円盤捕まった!

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 (1998年2月27日掲載)

真剣な表情で円盤の様子を話す藤本さん(高知市内の公立高校)

真剣な表情で円盤の様子を話す藤本さん(高知市内の公立高校)

 「中学生が空飛ぶ円盤を、網ですくって捕まえてしまった」。二十五年前、高知市介良で起きたこんなすっとんきょうなニュース。マスコミがこぞって取り上げ、全国的な騒動になったのを覚えている方はおられるだろうか。いやいや、爆スタの読者にとっては初耳かも。作家の故・遠藤周作氏も高知市を訪れ、エッセー集「ボクは好奇心のかたまり」(新潮文庫)で報告している。この本を読んだ二十七歳の《マユ》は興味津々。真相解明へ、当事者にインタビューを試みた。
 
 「いや-、さんざん騒がれたので、もうご勘弁を」という関係者もいたりで四苦八苦する中、取材に応じてくれる男性が一人いた。高知市の公立高教諭、藤本恵功さん(39)。勤め先の学校を訪ねた。

 「円盤? 見ましたよ。というより、触りましたから、はい…」

 うそっ。そんなにあっさり認めちゃうの? こちらの動揺とは裏腹に、藤本先生は淡々と当時の様子を話し始めた。

 中学二年生の九月。クラスメートの何人かが、西の夜空に光る筋を見た。学校で話題になり、五、六人で放課後見に行くことに。夕暮れ、刈り入れ後の田んぼが一面に広がっていた。その時…。

 「円盤が浮いてたんです。三十メートルほど先に高さ一メートルの草が何本か生えていて、その上でゆっくりと回転して。もう頭がぼーっとなって…」

 その直後、だれかが急に「追いかけてくる!」と絶叫。全員はじかれたように大声を上げ、一目散に逃げたという。

 ――ほんまかいな? でも中学生たちの不思議な体験はここからが本番。

 「その何日か後の日曜日の朝でした。友人が家に駆け込んで来て、『円盤を捕まえたっ』って」

 友人の話では、前夜現地を見に行き、また円盤に会い、思わずブロックをぶつけて逃走。翌朝にこわごわ見に行くと、UFOは哀れ、そのまま石の下敷きになっていた。

触ったという円盤

触ったという円盤

 さらに豪快な土佐っ子たち、この円盤を網ですくってしまった。何とまあ…情けないぞ、UFO。

 藤本さんは父親と一緒に、友人宅二階の子供部屋へ。そこには円盤が一つ、床の中央にごろりと転がっていた。

 この円盤は直径約二十センチ、高さ約六・五センチで帽子形。銀色の鋳物のような材質で、底に波打ち模様と鳥が飛ぶような印もある。小さな穴が無数に開いており、試しに水を注いだら、ジーと情けない音がした。さらにひどいことに、金属でたたいた。でも傷ひとつ付かず、穴から中をのぞくとコイル状のものが見えたという。

 「皆で触り、いじくりまくってました。でも、もっと不思議だったのは、この円盤は二時間のうちに必ずなくなっちゃうらしいんです」

 ここから先は、友人の体験談。円盤はいなくなったと思うと、すぐにどこかに落ちているのが見つかり、簡単に「拾える」らしい。ところが、両手で持っていてもするりと抜けて空に飛んでいくし、ナップザックに入れたら軽くなる。電気コードでぐるぐる巻きにしても結果は同じ。そんなことを繰り返すうち、とうとう円盤にも会えなくなった――。

 遠藤周作氏が介良に現れたのは、騒ぎが収まりかかった翌春。真っ黒なコートを着た遠藤氏はとても穏やかで、少年らの話を聞きながら「ふんふん」「あっそう」と淡々とメモを取ったという。

 後に遠藤氏から文庫本が送られてきたが、その中で遠藤氏も容易に信じられなかったらしく、「なにイ、くだらん」と前半は懐疑的な表現ばかり。しかし現地で少年らの話を聞くに及び「だましている気配は全くない」「あくまで事実をそのまま真剣になってしゃべっていた」。信じる方へと心を傾けていく。

 当時の仲間は高校進学でばらばらになり、現在では会ってもほとんど話題に上らない。しかし藤本先生、UFOと交わった思い出に揺らぎはない。

 「間違いなく、この手で触った。変わった物体だった」

 どーですみなさん、信じられますか? 好奇心が、うずきませんか。

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