2024年 04月27日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.10.13 05:00

【旅行支援開始】感染対策を緩めぬように

SHARE

 新型コロナウイルス禍で打撃を受け続けてきた観光業界には、反転攻勢の号砲になるのではないか。
 遠出の旅行を後押しする「全国旅行支援」が始まった(東京都は20日から)。また、訪日客の回復へ水際対策も大幅に緩和された。
 人の移動を促す本格的な取り組みが国内、国外向けとも動き出した。観光産業の裾野は広い。行政、業界、旅行客とも感染対策をおろそかにせず、地域経済が活気を取り戻す展開を期待したい。
 全国旅行支援は、都道府県の「県民割」を全国に広げた形で行われ、代金割引とクーポン配布により1人1泊最大で1万1千円の支援が受けられる。
 費用は国が負担するが、国が一律的に運用していた「Go To トラベル」と異なり、実施条件は都道府県が決める。それぞれの実情に応じて進められ、本県を含めて独自支援を加える自治体もある。
 一方、ワクチン接種状況など利用条件も都道府県ごとに異なる。開始早々に枠が埋まり、予約受け付けを停止するケースも出た。行政側は混乱を招かないよう、きめ細かな情報提供に留意してもらいたい。
 共同通信の取材では、事前に事業停止の基準を設けたのは3県のみだった。感染拡大時のシミュレーションが十分とは言い難い。各自治体の主体性が問われよう。
 旅行需要は既に高まっているとして、支援策の必要性を疑う声も出ている。対象が、旅行を楽しむ余裕のある人に偏る面もあるのかもしれない。効果や必要性の検証は継続的に行っていくべきだ。
 水際対策の緩和では、1日当たり5万人の入国者数上限をなくし、外国人観光客の個人旅行を解禁した。滞在資格の取得や検疫面の手続きも簡素化した。
 日本の対策は先進国の中でも厳しかっただけに、インバウンド(訪日客)需要の復活による経済的なインパクトが大きいのは間違いない。
 歴史的な円安が進み、追い風も吹く。観光で外貨を稼ぐ重要さも以前に比べて増しているだろう。
 課題になるのは、マスクを使わなくなった海外の国も多い中、感染対策で日本のルールや習慣をどう理解してもらうかだ。
 ツアーで引率者がいれば徹底しやすいが、個人客が増える中、現場で混乱やトラブルが起こることは避けたい。行政レベルで訪日客への周知に力を注がねばならない。
 観光需要の復活でウィズコロナ社会に向けた歩みが進むことになる。ただ、感染収束はまだ見通せず、冬には「第8波」としてインフルエンザと同時流行する恐れもある。
 感染対策の緊張感は維持しなければならない。感染拡大時には、水際対策の強化や旅行支援の中断も視野に入れる必要があろう。
 第7波では、新規患者数の多さに急きょ全数把握を見直した。発熱外来への患者の殺到や検査キット不足など、対応が後手に回った。必要な備え、想定も怠ってはいけない。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月