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2022.10.10 08:00

【男性版の産休】取りやすい職場づくりを

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 妻の出産に伴い、男性も産休を取ることができる「産後パパ育休」(男性版産休)の制度が10月から始まった。
 男性の育児参加を促そうと、昨年成立した改正育児・介護休業法に基づく新制度の一つだ。同法では今春から、育休取得を従業員に働き掛けることを企業に義務付けた。来春からは従業員千人超の大企業に育休取得状況の公表を義務化する。
 子どもを産みやすく、育てやすい社会づくりは、男性抜きでは進まない。一連の取り組みを通じ、「子育ては女性が行うもの」との古い意識を着実に取り払っていきたい。
 パパ育休は、子どもの誕生から8週間以内に、育休を計4週間まで2回に分けて取れるようにした。この期間は、肉体的にも精神的にも母親の負担が重く、パートナーがいる心強さは言うまでもあるまい。
 併せて、通常の育休も、これまで子どもが1歳になるまでに夫婦それぞれが1回ずつだったのが、2回まで分割取得が可能となった。
 重要なのは、これら育休取得の機会拡大を通じ、父親が育児や家事に参加する習慣が根付くことだ。父親の参加機会が多いほど第2子以降が生まれやすいとの調査もあり、少子化対策につながっていく。
 夫婦共働き世帯が増えている中、母親に偏る負担が減れば、社会復帰後のキャリアアップ、女性の社会進出も期待できよう。
 現状の男性の育休取得は、まだまだ低調だ。厚生労働省の調査では、2021年度の育休取得率は13・97%だった。前年度から1・32ポイント上がったが、政府の掲げる「25年までに30%」の目標にはほど遠い。
 伸びない要因には、人手不足などを背景に、取得がはばかられるような職場の雰囲気が残っていることが挙がる。今春、従業員への周知が企業に義務付けられたのはそれを解消するためにほかならず、積極対応する企業の事例も報じられる。
 一方で、対応に苦慮する中小企業が少なくないのも事実だ。日本商工会議所が今夏行った調査では、パパ育休の準備ができている会社は5割弱で、業務の専門性や人材・資金難を理由に「代替要員がいない」とする声が上がった。
 ただ、男性の育休確保は経営の必須事項になった。それを前提にした体制づくり、企業風土の改善を進めていくほかない。
 育休に限らない。病欠や家族の介護はどの従業員にも起きうる。誰がいつ抜けても対応できる組織づくりが求められ、複数業務をこなす人材の育成は会社の強みにもなろう。休みがきちんと取れない会社は、取り残される可能性も高い。
 こうした中小企業の働き方改革に対して政府は、実効性のある支援策を展開してもらいたい。
 男性、父親の自覚も求められる。子育ての知識や意欲がない人がパパ育休を取ったとしても、産後ケアの必要な女性の足を引っ張り、ストレスを増やすだけだ。育休の意義と目的を忘れてはいけない。

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