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2022.10.06 08:00

【教団との関係】実態の把握が大前提だ

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 政権発足1年を支持率が急落する中で迎えた岸田文雄首相は、国民の批判に向き合うと力説した。その姿勢が貫かれるように期待したい。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る対応は、それを見極める材料に位置付けられる。
 首相は所信表明演説で、教団を名指しした上で、悪質商法や多額寄付の被害救済に取り組むと主張した。関連法令の見直しを検討するようだ。厳しい世論や追及をかわしたい思惑もあろうが、問題の解決へ積極的な対応が求められる。
 家族の困窮や人権侵害も指摘され、救済策の充実は当然急がれる。その大前提として、実態を把握することが不可欠なはずだ。そこでは、政治とのつながりや政策決定への関与を見逃すわけにはいかない。
 自民党は党内調査で、閣僚を含む党所属議員180人に教団との接点が判明したと発表している。会合出席や会費の支出のほか、組織的な選挙支援を受けた事例があった。野党議員にも接点が判明している。
 首相は8月の内閣改造で、教団との関わりが分かった7閣僚を入れ替えてイメージ刷新を図った。しかし一部閣僚で接点が分かり、かえって教団とのつながりの深さが浮き彫りになった。
 留任した山際大志郎経済再生担当相は関係が判明したが、内定前に首相には直接説明していないという。その後も接点が相次いで判明している。2018年には教団が主催した会合に出席し、教団トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁と対面したことも明らかになった。
 山際氏は指摘を受けて関係を認めることが多い。その際には「明確に覚えていないが、報道を見る限り出席したと考えるのが自然だと思う」という釈明も聞かれた。忘れることがないとは言わないが、当事者意識を欠いているように思える。
 衆院は所信表明演説に対する代表質問を行った。首相は、できる限り調査をして説明をする必要性を強調した。さらに、理解を得られていないのであれば、議員自らの責任において説明を尽くすように求めた。その通りだが、説明を回避する姿勢に対して首相が主導力を発揮しているようには見えない。
 物価高が国民生活にのしかかる。山際氏は月内に策定する総合経済対策や、政権が掲げる「新しい資本主義」など経済政策運営の旗振り役を担う。政権に不信感が向けられるようでは、重要施策の議論を深めることはできない。
 首相は所信表明演説で、「説明責任を果たしながら、信頼回復のために取り組みを進める」と述べている。そうした姿勢を後退させては支持率向上は望めない。
 細田博之衆院議長は、教団側と自身の関係を認める文書を公開した。野党は文書1枚のみで内容も不十分だと態度を硬化させ、追加説明を余儀なくされた。そうした対応でやりすごせると思ったのだろうか。国会軽視の姿勢が近年の政権と変わらないようでは情けない。

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