2024年 04月28日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.10.05 08:00

【北朝鮮ミサイル】愚かな挑発を繰り返すな

SHARE

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本上空を通過して太平洋に落下させた。平和と安全を脅かし、国際社会を挑発する北朝鮮の姿勢はエスカレートする一方だ。局面を打開する糸口を探る必要がある。
 ミサイルが日本上空を通過したのは2017年9月以来、7回目となる。被害情報はないが、北海道、青森県などで全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動。交通網や学校行事などにも影響が出た。
 ミサイル発射がそもそも容認できるものではないが、とりわけ、住民の不安をあおる飛行コースは極めて悪質だ。事前通告もなかった。憤りを禁じ得ない。
 北朝鮮側には今回、技術を誇示する意図があったとみられている。
 ミサイルは、過去4回発射されている中距離弾道ミサイルと推定される。前回列島越えしたケースは約3700キロ飛行したのに対し、今回は最長の約4600キロだった。米軍基地のあるグアムまで届く距離が念頭にあったと指摘されている。
 また、米韓が9月26~29日、約5年ぶりに日本海で合同軍事演習を実施。30日には日本も加わり、対北朝鮮を想定した共同訓練を行った。それらへの反発だともされる。25日からの1週間で弾道ミサイル4発の発射が続いていた。
 ロシアのウクライナ侵攻も、挑発行為の頻発につながっているようだ。今年の北朝鮮による弾道ミサイルなどの発射回数は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を高角度で撃つロフテッド発射を含めて20回以上に上り、異例の多さとなっている。
 米国がロシア対応を優先せざるを得なくなっていることや、国連安全保障理事会が機能不全を露呈し、制裁決議の採択が見通せない状況と無縁ではあるまい。
 いずれにせよ、核とミサイルを背景に米政権に譲歩を迫る北朝鮮の姿勢に揺るぎは見えない。9月には核兵器の使用条件を定めた法令を採択した。7回目の核実験も近く行うとの観測がある。
 核とミサイルによる挑発を繰り返しても、米国が制裁や態度を軟化させるはずはなく、日韓も同様だろう。愚策だと自覚し、対話の呼び掛けに応じるべきだ。
 今回の発射を日本政府は、国連安保理決議違反だと強く非難。安保理の場や米韓と連携し、情報収集や警戒監視に全力を挙げる姿勢を示した。米韓も同様に批判を強め、挑発行為の自制を強く求めた。
 日米韓は「連携強化」を強調する。ただ、打つ手は限られ、手詰まり感も否めない。朝鮮半島の非核化に向けた外交は、正念場だと言ってよい。解決の突破口を何とか見いださねばならない。
 ミサイル発射を受け岸田内閣は、敵基地攻撃能力の検討を含め「スピード感を持って防衛力を抜本強化する」との声明を出した。必要な防衛力の強化は行うべきだろう。
 ただ、この一件を口実に過剰な積み上げになってはいけない。努めて冷静に議論していく必要がある。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月