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2022.10.03 08:42

〝元祖〟高知県アンテナショップ「高知屋」10/16閉店 東京・吉祥寺で22年

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周辺の住民らに20年以上親しまれてきた「高知屋」(東京・吉祥寺)

周辺の住民らに20年以上親しまれてきた「高知屋」(東京・吉祥寺)


 東京・吉祥寺で20年以上営業してきた〝元祖〟アンテナショップの「高知屋」が、16日で閉店する。街の変化や県産品を扱う店の増加などで、近年は客が減っていた。新鮮な農産物や加工品が買える手軽さから住民に親しまれており、惜しむ声が上がっている。

 高知屋は2000年3月、民間の卸・小売業「高知県特産品販売」(高知市)と馬路村農協が地場産品の販路拡大を目指し、JR吉祥寺駅に近い中道通りの商店街に共同出店した。

 県公認アンテナ店の第1号で、当初3年間のみ県が家賃を負担。03年に馬路村農協が運営を離れ、同社の単独経営になっていた。

 売り場面積は約50平方メートル。店頭にナスやトマト、ショウガなどを並べる八百屋のようなスタイル。店内にはユズ関連商品やカツオのたたき、ぼうしパン、土佐酒などの県産品がずらりと並ぶ。

 約500点の商品を扱い、売り上げの約4割を農産物が占める。同社の門田唯稔社長(39)は「直売所に近いイメージの店。商店街近くに住む人たちが、日ごろの食材を買いに来た」。

 10年度はNHK大河ドラマ「龍馬伝」の効果で売り上げは約7千万円に。東日本大震災後の11年度は西日本の食材需要が高まり、ピークの約9千万円まで伸ばした。

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 しかし、近年は吉祥寺駅周辺の再開発などで人の流れが変化してきた。同社によると、商店街を行き交う人に観光客が目立つ「土日型」の傾向が強まったという。

 また10年にアンテナ店「まるごと高知」が東京・銀座にオープンするなど、官民を挙げて首都圏で地産外商を進める動きが全国的に加速。地方食材に注目が集まり、県産品を扱うスーパーやセレクトショップも増えた。

 高知屋の来店客は徐々に減り、直近の売り上げはピークの半分ほど。「時代と吉祥寺の街が目まぐるしく変わる中、店を続けるのは難しいという思いに至った」(門田社長)と閉店を決めた。

 常連客や商店街関係者からは、閉店を惜しむ声が聞かれる。週1回は来店するという地元女性(56)は「小夏やブンタンもここの店員さんに教えてもらった。ドレッシングや加工品の品ぞろえも良かったので、これから困っちゃう」。

 中道通り商店会の坂井健司会長(61)は「高知の食材はおいしいので地元飲食店の人も買いに来ていた。店長に商店会役員も引き受けてもらっており、お店がなくなるのはとても残念だ」と話す。

 高知県特産品販売は名古屋市で運営する県公認アンテナ店「名古屋 高知屋」の営業のほか、首都圏などへの県産品の卸売りは続ける。(井上智仁、浜崎達朗)

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