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2022.09.26 08:45

コロナ届は高リスク者限定、対象外は自ら登録に 高知県内「全数把握」9/26から簡略化

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 高知県は9月26日から、新型コロナウイルス感染者の「発生届」の対象を、高齢者ら重症化リスクの高い人に限定する。全国一律で始まる「全数把握」の簡略化で、県は引き続き対象となる人は感染者全体の3割程度と想定。医療機関や保健所の負担軽減につながる半面、対象外の人は自分で情報を登録する必要がある。居住市町村別の集計は発表しなくなる。

 医療機関が保健所に提出する発生届は、これまで全ての感染者の名前や住所、職業、発症日、症状などを政府のシステムに入力。保健所はその情報を基に、健康観察や受診の調整をしてきた。

 県内では感染「第7波」のピークだった8月下旬、1日の感染発表が2千人を超え、発熱外来を受診できない人も多かった。政府は、発生届の作成や健康観察などが医療機関や保健所の負担になっているとして、全国一斉の簡略化に合わせ、対象を絞り込む。

 26日以降も発生届の対象となるのは、(1)65歳以上の高齢者(2)入院が必要か、必要が生じる可能性のある人(3)重症化リスクがあり、コロナ治療薬や酸素の投与が必要な人(4)妊婦。県は簡略化を先行実施した鳥取県などの例を踏まえ、発生届の対象者は感染者全体の25~30%と想定。高知市保健所は「最近の市内の事例を見ると、対象者は20%ほどになるのでは」とする。

 26日以降、(1)~(4)以外の人には、県が26日午前10時から運用を始める「陽性者フォローアップセンター」に、自分でオンラインか電話(088・802・3911)を通じて登録してもらう。自宅療養中に体調が悪化した場合、24時間態勢で相談に応じるセンターに連絡すれば、看護師や医師らが医療機関を紹介したり保健所につないだりする。

 県は「まずは登録してもらわないと感染者との接点がない。いざという時の支援もできない」として、センターの周知を図る。

 ◇ 

 県は簡略化以降も引き続き、感染確認された人の総数を毎日発表する。クラスター(感染者集団)の発生状況や病床占有率などもこれまで通り公表する。

 しかし、居住市町村別の感染者数は発表しなくなる。発生届の対象外の患者について、医療機関は年代別の人数を集計するだけで、居住地の報告はしない仕組みになるためだ。

 地域別の感染状況を発表することは、住民の予防意識につながっている面がある。県は「医療機関に別途報告してもらわないと、市町村別の発表はできない。簡略化は関係機関の負担軽減が目的であり、割り切るしかない」とする。

 県内の首長は「負担を考えればやむを得ない」「感染者数によって行動制限をかける段階ではない」と理解を示す一方、「発表するのにこしたことはない」「感染が再拡大した時に住民が求めるかもしれない」などの声もある。

 全国知事会は、市町村別の感染者数を把握できる仕組みの構築を政府に要望している。現状では、登録者が少なければ後日であっても、市町村別の傾向はつかみにくくなる。県は「診断した医療機関の所在地は分かるので、それを見て把握したい」とする。

 これまで多くのコロナ患者を診てきた近森病院(高知市)の石田正之・感染症内科部長は「簡略化は特別な病気から一般の病気になる過程で必要なステップ。第7波のピークを越え、多少余裕がある時に進めるのは良いと思う」とする。

 その上で「発生届の対象外で、肥満などのリスク要因を持っている人もいる。自分はリスクがないから大丈夫だと思っていても、登録することが重要だ。具合が悪くなった時に速やかに次につなげられる」と強調。「それぞれの発熱外来が、リスクのある人をいかに正しく判断するかも大事になる」と指摘している。(大山泰志、石丸静香)

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