2022.09.20 08:35
台風高知県内に爪痕 漁船転覆、倒木は屋根破壊
強風により相次いだ倒木。高知市では高齢夫妻の自宅屋根に倒れかかった(19日午後0時10分ごろ、同市朝倉丁)
「経験のないような危険な台風」―。気象庁がこう表現した台風14号は19日、高知県の一部を暴風域に巻き込みながら中国地方へと進んだ。懸念された線状降水帯は発生しなかったものの、雨を含んだ突風が各地で爪痕を残した。
シートに覆われた本山町庁舎の副町長室。突風で屋根がめくれ、雨水が入り込んだ(19日午前11時ごろ)
驚いて近づくと、今度は「バリバリ」とごう音が響いた。窓の外で庁舎の屋根がめくれ上がり、ゆらゆら揺れている。それはみるみる大きくなっていった。
来春、役場は建設中の新庁舎に移転する予定。「もう少し、持ちこたえてくれ…」。そう念じながら、はがれた屋根の下にある副町長室に駆け込むと、既に雨漏りが始まっていた。ブルーシートやバケツを敷きつつ、「築60年以上。古いとはいえこれほどひどい雨漏りは初めて。修繕に1週間はかかる」と肩を落とした。
19日の県内は、須崎市で史上最大の最大瞬間風速27・8メートル、四万十町の窪川で9月最大の26・2メートルを観測。各地で20メートル超の突風が襲い、転倒などで7人が軽傷を負った。
仁淀川の沈下橋に引っかかった大木。作業員がチェーンソーで撤去した(19日午前10時5分ごろ、越知町越知甲の中仁淀橋)
明るくなって確認すると、隣接する森の木が折れて自宅に倒れかかり、軒先を貫いていた。「大事な家が壊れてしまった。撤去を頼むあてもない。また倒れてきそうで怖い」
激しく波打つ海水が泡に。強風により砂浜に舞った(19日午後2時10分ごろ、高知市浦戸の桂浜)
強風の通り道となった国道沿いの田んぼ。収穫前の稲穂が一斉に倒れた(19日午前10時ごろ、四万十町十川)
係留ロープが切れて転覆した漁船。高波に揺られたとみられる(19日午後0時15分ごろ、大月町柏島の柏島漁港=画像を一部加工しています)