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2022.09.11 08:35

ロケット!?地面にズドン 南極観測へ機器投下試験 高知工科大助教、ドローン活用

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上空から投下され、地面に刺さった観測機器(西川泰弘助教提供)=写真はいずれも高知工科大学香美キャンパスグラウンド

上空から投下され、地面に刺さった観測機器(西川泰弘助教提供)=写真はいずれも高知工科大学香美キャンパスグラウンド

 ズドンッ。小型ロケットのような形の物体がはるか上空から落ちてきて、土のグラウンドに突き刺さる。知らずに遭遇するとぎょっとしそうだが、実はこれ、11月に出発する第64次南極観測隊の研究に向けた試験。氷の大地にピンポイントで観測機器を打ち込むテストが、香美市の高知工科大学香美キャンパスで行われている。

地震計などを搭載する観測機器のダミー

地震計などを搭載する観測機器のダミー

 試験を重ねるのは、観測隊に参加するシステム工学群の西川泰弘助教(39)。現地では南極の地震活動や氷河崩落などの動きを把握する研究に当たる。

実際に南極で使用するドローンで試験。機器を下部に固定できる特注品だ

実際に南極で使用するドローンで試験。機器を下部に固定できる特注品だ

 研究に必要なのが、地震計や衛星利用測位システム(GPS)、工科大が開発した超低周波音「インフラサウンド」を捉えるセンサーなどを搭載予定の観測機器「ペネトレータ」(直径10センチ、全長60センチ、重さ約10キロ)。

 クレバス(氷河の割れ目)などが障害となって人力では近づけない場所にも設置するため、現地ではドローンを飛ばして上空から氷に打ち込む。ただ、南極は強風が吹き、狙い通りに刺すのは決して簡単ではない。

 西川助教は7月から、地震計などを実際に搭載した機器を投下して作動状況を確認。今月5日にはドローン操作に習熟するため、学生ら7人の協力で試験し、上空20メートル、50メートル、150メートルの3地点からダミーの観測機器を投下した。

 ドローンは位置情報に基づき、自動で投下位置まで移動するが、離着陸と機器の投下は手動。「5、4、3…」。スタッフのカウントダウンとともに、風を慎重に見極めた西川助教が投下すると、ズドン!とダミーが落ちてきた。「投下の位置は問題ないね」「現地の風の強さが心配だな」。落下位置を確認して実際の投下をイメージしていた。

 「ドローンで投下すれば、人が近づけない広範囲の場所にも地面に固定できる。理にかなった手法」と西川助教。専門とする惑星地震学の発展も願い「この作業が数十年後、惑星の探査にも生かされることを見据えて取り組みたい」と意欲を燃やしている。(海路佳孝)

高知のニュース 香美市 大学 科学・技術・研究

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