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2022.09.08 15:17

東電、原発処理水で魚飼育 海洋放出の不安緩和狙い

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 東京電力福島第1原発の処理水で魚を飼育する試験に向け、海水での練習を重ねる古田岳志さん=8月、福島第1原発

 東京電力は福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水を来春ごろから海に放出する準備を進めているが、漁業者を中心に風評被害への不安が根強い。そこで東電は実際の処理水で魚介類を飼育し、安全性を確認する試験を今月にも始める。担当者は「風評への不安を緩和できるよう、元気に育つ姿を発信したい」と話す。


 8月、原発敷地内にある元事務所内には青い大きな水槽が並び、試験に備えた海水での飼育練習が行われていた。東電社員が粒状のえさを投げ入れると、水底でじっとしていたヒラメが元気よく飛び付いた。「人間にも慣れてきたみたいです」


 計画では処理水を大量の海水で薄めてトリチウムの濃度を国の基準の40分の1未満にし、海底トンネルを通して原発の沖約1キロで放出する。


 東電によると、地元漁業者らに放水計画を説明した際「処理水の中でも魚が生きているところを見せてほしい」との声が多く寄せられ、地元でとれて飼育しやすいヒラメやアワビでの試験を決めた。放出時と同程度に薄めた処理水の水槽と、通常の海水の水槽で飼育し、体内のトリチウム濃度などを比較する。


 練習は3月に始め、現在はヒラメ約80匹、アワビ15匹前後、アオサ約1キロを育てる。ツイッターなどで“飼育日誌”を公開し「ヒラメは色つや良く元気です」「寄生虫で死んでしまうなど、飼育する難しさを痛感」と、写真や動画とともにありのままを発信している。


 飼育チームの古田岳志さん(56)は、電力中央研究所で電気を活用した養殖技術の研究をする中でヒラメの養殖に携わった経験を買われ、6月に加わった。当初はヒラメが相次いで死んだが、古田さんが原因となる寄生虫を特定。定期的な塩水浴や殺菌装置の導入で改善した。

(c)KYODONEWS

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