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2022.08.24 08:31

アユは「たたき」ウナギは「おこし」? 高知県・四万十川の伝統2漁法健在

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ウナギを捕獲した武吉孝夫さん=左=と古谷幹夫さんとのコンビ(写真はいずれも四万十町大向の四万十川)

ウナギを捕獲した武吉孝夫さん=左=と古谷幹夫さんとのコンビ(写真はいずれも四万十町大向の四万十川)

 アユの「たたき」に、ウナギの「おこし」。理解できる人はまれと思われるが、いずれも四万十川(中流域)の伝統漁。特に後者の「おこし」は衰退が著しい。「もしかしたら最後の担い手になるかも?」という、年配者2人の漁に同行した。

 写真家、武吉孝夫さん(76)と友人の古谷幹夫さん(69)=いずれも高岡郡四万十町=が向かったのは、同町大向の四万十川。
水面をたたいて、アユを網に追い込む「たたき漁」

水面をたたいて、アユを網に追い込む「たたき漁」


 まずはアユの「たたき」漁から。左右の延長十数メートルの網を2人で持ち、下流に向かって進む。竹ざおで「びしばし」と水面をたたき、アユをおどして網に追い込む。

 はた目にはどこかコミカルで、剣道の素振りを早送りで見るよう。残念ながら漁獲はゼロだった。

 次に「これが本番」というウナギおこし漁に取りかかる。

 大きな石を、鉄製のバールでぐらぐらと揺り動かす。水中めがねで川底をうかがう。石の底に潜むウナギが驚いて出てきたところを、ウバシ(ぎざぎざの歯が付いた専用のはさみ)でつかむ。

 「おった!」「いかんあっちに逃げられた」「その石を今度は、この方向から揺すってみて」「あっ出てきた!」

 かつて「おこし」は集落行事の一つで、体力のある若者たちが集団で漁をした。住民の高齢化や集落行事の簡素化などで衰退をたどった。

 武吉さんらによると水中で10匹のウナギを見つけて、捕獲できるのはせいぜい1匹。ただ捕獲できた時の感動は大きいという。

 「何もかも忘れて、童心に戻れる。生きている実感が味わえる漁だね」(武吉さん)

 疲れを知らない年配者2人の漁は、たっぷり4時間に及んだ。メインの「おこし」は、最終盤に良型の1匹を取り押さえた。少年のころと変わらぬであろう笑顔が、夕刻の川辺に輝いた。(福田仁)

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