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2022.08.22 12:14

【東京舞台さんぽ】「五日市物語」 あきる野市、私擬憲法の蔵も

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 秋川渓谷で川遊びする若者たち=東京都あきる野市

 東京都あきる野市は1995年、五日市町と秋川市が合併し誕生した。市の歴史と風土の魅力を主人公の歩みと共に味わえるのが、市政15周年に製作された映画「五日市物語」(2011年公開)だ。ロケ地をたどった。(共同通信=藤原朋子)


 あきる野市職員の小林仁さんが脚本・監督を務めた。情報収集会社に勤める友里(遠藤久美子さん)がテレビ局の依頼で同市へ赴き、市職員栗原の案内で取材をスタート。旅館では女主人の生きざまに触れ、町に深い興味を抱く。やがて友里に大きな変化が訪れる。


 JR武蔵五日市駅から友里の取材に倣い、深沢家屋敷跡へ向かった。山深い地の土蔵から1968年、私擬憲法草案「五日市憲法草案」が発見された。1881(明治14)年の起草から約90年を経てのこと。現行憲法にも相通ずる、国民の権利に関わる条文が記されたと知り、起草者たちの高い意識に感じ入った。


 市街地へ移動し、油屋旅館を訪ねた。映画で草村礼子さん演じる女主人のトシ子が、町の昔のにぎわいを友里らに語り、やがて友里が長期滞在することになる、作品を語る上で外せない場所。


 主人の沼田満雄さんが「ロケ地を探していた小林監督がこの絵を決め手に当館にされたようです」と玄関に飾る1枚を紹介してくれた。物語の鍵を握る絵で、阿伎留神社例大祭のみこしが練り歩くシーンを描く。油絵特有の力強い筆致がモチーフにマッチし、勇壮な世界に引き込まれた。


 旅館近くの阿伎留神社は、友里が境内を散歩するシーンなどのロケ地。スギやスダジイの高木がそびえ立ち、古社にふさわしい厳かな雰囲気だ。


 路線バスに乗り、秋川渓谷に架かるつり橋「石舟橋」を目指した。映画では春夏秋冬の美しい風景が登場し、友里と栗原が心寄せ合うシーンも撮影された。この日は、下を流れる秋川で川遊びする若者たちの歓声がこだましていた。


 【メモ】「南沢あじさい山」もあきる野市の人気スポット。南沢忠一さんが一代で植えた1万株以上が咲き誇る。

(c)KYODONEWS

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