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2022.08.16 08:00

【3期プラス成長】不安要因に警戒怠らずに

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 新型コロナウイルスの感染対策を機能させながら、経済社会活動を正常化させる必要がある。物価高騰にも目配りが欠かせない。景気の先行きには不安材料もある。警戒を怠らずに本格回復へとつなげたい。
 2022年4~6月期国内総生産(GDP)は3期連続のプラス成長となった。3月末に新型コロナ対策のまん延防止等重点措置が解除されて行動制限がなくなり、個人消費が拡大したことが大きく影響した。
 実質GDPの金額は年換算で542兆円で、新型コロナ流行前の水準を回復したことになる。個人消費は旅行や外食が伸びた。設備投資はデジタル化に対応したソフトウエア関連の投資が寄与している。
 こうした流れを確実なものとすることが重要だ。しかし、それを阻害する要因もある。新型コロナは流行「第7波」に入っている。新規感染者は連日20万人規模が続く。行動が慎重になれば、個人消費は勢いを欠く恐れがある。
 もっとも、消費を左右するのは感染状況だけではない。今局面での行動制限を課さない判断には、歓迎とともに戸惑いの声も多い。感染力や重症化率などを勘案して新たな対応を取るのであれば、政府の十分な説明が必要となる。基本は政策への信頼だ。社会としてリスクをどこまで許容するのかについての理解を深めることが欠かせない。
 物価の高騰も続いている。国内企業物価指数は7月まで17カ月連続で前年同月を上回った。新型コロナ禍からの経済活動の再開やウクライナ情勢悪化などを背景にした資源価格の高騰や、円安による輸入価格の上昇が影響している。
 政府は22年度の消費者物価指数の上昇率を2・6%と予測する。消費増税の影響を除くと31年ぶりの高さとなる。それでも消費者物価は企業物価ほどには上昇していない。だが、企業が調達コストを吸収しきれずに価格転嫁するようになれば、消費者物価の一段の上昇は避けられなくなる。
 一方で企業がコスト増加分を転嫁しにくい状況もあらわになっている。物価高が影響して倒産した企業は増加傾向にある。規模別では中小・零細企業が多い。取引先との力関係から価格に反映できなかった事例が報告されている。
 海外の景気動向も気になる。米国はインフレの加速に対して利上げを進め、消費減退への警戒感が強かった。その懸念は後退したとの見方も出ているが、不透明感が漂う。中国の景況感も鈍化している。
 国際通貨基金(IMF)は22年の世界経済の成長率を下方修正した。ロシアが欧州への天然ガス供給を停止すれば一段の悪化が見込まれる。世界同時不況の淵に立たされているとの分析さえある。
 そうなれば日本経済も減速を免れない。新型コロナ禍からの回復基調に急ブレーキがかかる中で、企業業績を高め、賃金に反映していかなければ暮らしは上向かない。多面的な対応を取る必要がある。

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