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2022.08.11 08:00

小社会 3年ぶりの花火

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 本県出身の物理学者、寺田寅彦博士は線香花火にもかなりの興味があったようだ。弟子の中谷宇吉郎によると、金や設備がなくてもできるとし、よく教え子に実験や研究を勧めたという。

 「線香花火」という随筆が知られる。寅彦は、火花が変化していくさまを音楽の進行や植物にたとえた。火薬の燃焼が始まった小さな炎は「牡丹(ぼたん)の花弁」。短い休止期を挟んで勢いよく火花を放出する段階は、〈第二の松葉第三第四の松葉を展開する〉。

 やがて火は勢いを失う。〈私の母はこの最後のフェーズを「散り菊」と名づけていた〉。後に残るのは宵闇だけ。〈線香花火の一本の燃え方には、「序破急」があり「起承転結」があり、詩があり音楽がある〉。8月の夜の情緒が浮かんでくる。

 3年ぶりに高知市の納涼花火を見た。線香花火とは趣が異なるとはいえ、華やかな夜空の大輪にもこの時季の風情がある。近所の川べりに行くと、うちわを手にした結構な数の親子連れや老夫婦。当たり前だったお盆前の高知を少し思い出した。

 きのうからは街角に鳴子の音も響き始めた。しかし、新型コロナの流行が収まらない。本紙が紹介した医療関係者は「今年やらないと、よさこい文化がなくなるというのも分かる。厳戒態勢でやって」。ぜひ、皆の思いをくんだ行動を。

 何かと3年ぶりの試行錯誤が全国各地で続く。この疫病もそろそろ起承転結の「結」が見えてほしいものだ。


8月11日のこよみ。
旧暦の7月14日に当たります。ひのえ さる 四緑 友引。
日の出は5時25分、日の入りは18時57分。
月の出は18時46分、月の入りは3時49分、月齢は13.4です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で4時32分、潮位192センチと、18時25分、潮位197センチです。
干潮は11時31分、潮位5センチと、23時52分、潮位98センチです。

8月12日のこよみ。
旧暦の7月15日に当たります。 ひのと とり 三碧 先負。
日の出は5時26分、日の入りは18時56分。
月の出は19時30分、月の入りは5時04分、月齢は14.4です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時25分、潮位202センチと、19時01分、潮位201センチです。
干潮は12時17分、潮位1センチです。

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