2022.07.23 08:45
土佐清水市の足摺海底館、登録文化財に 海中展望塔で初 文化審答申
近未来的なデザインとレトロな雰囲気が魅力の足摺海底館。地域のランドマークとして愛される(写真はいずれも土佐清水市の足摺海底館)
国の文化審議会(佐藤信会長)は22日、土佐清水市の海中展望塔、足摺海底館を登録有形文化財にするよう末松信介文部科学相に答申した。海中展望塔の登録は全国初。
竜串湾にそびえる同館は県観光開発公社が建設し、1971年に完成。設計、施工は川崎重工業が担い、国立代々木競技場や大阪万博お祭り広場などの構造設計に携わった故坪井善勝氏が技術指導した。高さ約24メートル(海中部を含む)、重さ約520トン。
海面下7メートルの海中展望室。丸窓からテーブルサンゴや魚を見ることができる
登録に際して調査分析した地元の1級建築士の女性(46)によると、建築には海底環境を極力損なわない工法や、当時珍しかった繊維強化プラスチック(FRP)を採用。「当時の一流の人材と技術が詰まった建物。開発にかけるパワーを感じる」とする。
地域のランドマークとして愛されてきた同館は、今年1月に開館50周年を迎えた。職員の文野翔太さん(36)は「建物にお墨付きをもらえたよう。改めて多くの方に目を向けてもらう機会になればうれしい」と喜ぶ。
竜串湾一体を含む足摺宇和海国立公園も11月で指定50周年。2019年に登録有形文化財に指定された市立貝類展示館「海のギャラリー」も近くにあり、同公社の土居敬総務企画課長(51)は「登録は名誉なこと。『海ギャラ』とも連携し、建築専門家の意見もいただきながら、文化的価値を生かした観光ツールを考えたい」としている。
同館の登録で、県内の登録有形文化財は279件となった。(小笠原舞香)