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2020.10.03 05:00

カブトムシで地域振興を オーナー制度もあり?―なんのこっちゃ総合研究所 高知の幸せ探しシンクタンク 所長・ 黒笹慈幾(53)

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わが家のベランダにある「カブちゃんファーム」

わが家のベランダにある「カブちゃんファーム」

 わが家のマンションは南に愛宕山、西に鴻ノ森、北に土佐山の山並みを望む高知市内の自然景観豊かな場所に建っている。東京時代には考えられなかった近自然環境なのだが、残念なのは東側で、サンシャインの屋上駐車場、その向こうには改装なったばかりのイオンモール高知がでんと居座わり視界を遮る。

 以前2年間住んでいた九反田のマンションは、13階南西の角部屋だったので西に仁淀の山々、東に五台山、南に筆山、眼下に鏡川を望む夢のような眺望だった。それでつい比較してしまうのだが、高知の皆さんはそろって「便利でいいですね」と今のマンションの立地を褒めてくれるし、買い物(サンシャイン)や深夜プール&サウナ(イオン)で黒ちゃん一家が日々お世話になっているんだから「まあいいか」といったところである。

 マンション暮らしのいいところは玄関の鍵ひとつでセキュリティーが保たれること。それとある程度高さのある階に住めば、猫やタヌキのワルさを気にせずにベランダで生き物が飼えること。

 で、今回の「なん総研」はわが家のベランダで目下進行中の「秘密プロジェクト」の話をしようと思う(なんのこっちゃ)。

メダカとタナゴと…
 南向きの愛宕山側のベランダには人工池を置き、メダカとタナゴを飼っている。一時はニホンイシガメ(仁淀川で捕まえた)もいたのだが毎日の水替えが大変なのと、いつまでたっても慣れないので黒ちゃんがキレて(野生だから当たり前ですな)元の住処(すみか)へ帰っていただいた。

 もうひとつ、ベランダで3年にわたって飼っている生き物がいる。これが今回の主役である。メダカやタナゴ、イシガメが水系なのに対して、こちらは山系。初夏に土の中から這い出してきて、約2カ月間成虫として地上で青春を謳歌(おうか)し(繁殖活動のことです)、最後にメスが小さくて白い卵をたくさん土の中に生んで一生を終える。

 はてさて、この生き物はなんでしょう? なんだか小学生クイズみたいになっちゃいましたが、カブトムシですよね。卵から幼虫、サナギを経て成虫になるまでに土の中で丸1年、成虫になってから地上で約2カ月、寿命が約14カ月の昆虫。

 卵から孵(かえ)った幼虫は、ずっとの土の中なので冬までに2回ほど「昆虫マット」と呼ばれる腐葉土(これを食べて幼虫は大きくなる)を入れ替えてやればいい。

 普通に飼えば手間がかからず世話いらずの生き物である。昆虫マットはペット専門ショップやホームセンターのペット用品売り場に行けば簡単に手に入るし。

9月中旬にはこの大きさになった

9月中旬にはこの大きさになった

成長に一喜一憂
 「普通に飼えば」と書いたのは、わが家の場合(だけだと思うけど)手間がかかっているから。いや、あえて手間をかけて楽しんでいるといった方がいいかもしれない。「酔狂にもほどがある」とか「何もそこまでしなくても」と呆れている友人もいるくらいだ。

 まずはその数。4段の衣装ケース(2リットルのペットボトルで作った個室60室と雑居スペースを設けてある)の中に、9月末時点で109匹。その幼虫全員(全匹というべきか)が毎日「もぐもぐ」と昆虫マットを食べ、スイカの種みたいな形の黒いウンコをプリプリ排出しながらぐんぐん大きくなっている。

 成虫の大きさは終齢幼虫(サナギになる直前)の大きさで決まるから、丈夫で大きくて生殖能力の高い大人(笑い)に育てるには、食欲旺盛な秋のうちにたくさん食べてもらわないといけない。運動部の息子に毎日どんぶり飯を食べさせる母親か相撲部屋のおかみさんの心境である。

 おかげで昆虫マットの購入費がバカにならない。奥さんは「パパが釣具屋さんで使うお小遣いの金額と比べてみたら?」とイヤミなコメントを投げてくるが、じつは「カブトムシ愛」は奥さんの方が強いかもしれないと思うときがある。

 1年目には二十数匹いる幼虫に1人ずつ、じゃなかった1匹ずつ名前を付けていた(さすがに109匹となったいまそれはしていないが)し、3年目の今年はひと月に何度も衣装ケースをひっくり返し、幼虫の数を確認し、その成長ぶりに一喜一憂、ときには手のひらにのせて「かわいい」とか「ちょっと発育が心配」とか言っている。

カブちゃんファーム
 昆虫少年や昆虫オタクの専門領域かと思われていた「カブトムシ趣味」だが、意外にも母親との相性がいいのではないか。そんな仮説をめぐらせているうちに突然ある企画がひらめいた。

 名付けて「カブちゃんファームプロジェクト」。「カブトムシの一生」を目で見て楽しめる「自然体験の入り口プロジェクト」である。

 卵で生まれた小さな命が幼虫からサナギを経て成虫になり、やがて交尾して産卵し、次の世代に命を繋(つな)いでいく。そのすべてを1年ちょっとの間に母子で(もちろん父子でもいい)観察できる。小学生くらいの年齢の児童向け「命の教育素材」として使い勝手がいい上に、なにより楽しくておもしろい。

 それをバックヤードで支えるのが「カブちゃんファーム」、カブトムシの育成牧場。使用済みのシイタケのホダ木や製材くずが容易に手に入る県内どこかの中山間地に作れば、自然体験観光にもつながる。牧場ではカブちゃんの成長に欠かせない安全で良質な昆虫マットを生産し、必要な家庭に安価で提供する。

 飼育場所の確保が難しい家庭のために、冬期は幼虫を預かって終齢幼虫かサナギ直前の前蛹(ぜんよう)、あるいはサナギの状態になるころ(初夏)に返却して成虫になるのを楽しんでもらう「カブトムシオーナー制度」もありだなあ。

 そしてそして。ファーム育ちのカブトムシたちを大量に雑木林に放ち、夏休みの親子が自由にカブトムシ狩りを楽しめる「こどもカブトムシ村」も併設して…、などと黒ちゃんの頭の中で構想、じゃなかった妄想がどんどん膨らんでいく。

三山ひろしさん招く?
 膨らみついでに言っちゃうと、カブトムシファームの代表には、高知出身の演歌歌手で、けん玉名人の「あの人」を招聘(しょうへい)したい。三山ひろしさん、高知家プロモーションでは兄貴役をつとめ、自宅で自ら育てたカブちゃんペア(今年は約100匹も!)を、子供たちに配る「ミヤマ・カブトムシお渡し会」を2年連続でやっている。

 釣りバカつながりで黒ちゃんから正式に就任依頼をすればひょっとして「YES!」と言ってもらえるかもしれない、などと妄想が暴走中の黒ちゃんであります。(元編集者、高知大学客員教授)

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