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2022.07.11 08:00

【参院選徳島・高知】合区の弊害は続いている

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 3度目の合区選挙となった参院選徳島・高知選挙区は、自民党現職の中西祐介氏が、6人による乱戦を制して3選を果たした。
 徳島県を地盤とする総務副大臣の中西氏は、支持団体などを通じた組織戦を展開するとともに無党派層への浸透も図り、岸田政権の高い支持率をスムーズに票に結びつけた。
 野党勢が統一候補を擁立できなかった構図も中西陣営に利した。自民高知県連が「県代表」とした梶原大介氏の比例当選も含めて、勝算が高かった戦いを着実に勝ち切った格好だ。互いに不協和音を招かないよう候補者調整するなど、両県連の周到な準備が実を結んだといえる。
 対する野党勢は共闘態勢に至らず、厳しい結果となった。
 共産党新人の松本顕治氏は、岸田政権との対決姿勢が最も鮮明で、地元高知での健闘もあり、2番手となった。ただ、他党からの支援は限定的で中西氏とは大差がついた。
 日本維新の会新人の藤本健一氏は徳島の維新人気もあり、非自民層の一定の受け皿となった。国民民主党新人の前田強氏は、野党間の競合の中で存在感を発揮できなかった。
 力不足をさらしたのは立憲民主党だ。独自候補を擁立できなかった上に、他党との距離感をはっきりさせられずに自主投票とした。同党は前回参院選も候補を立てていない。野党第1党として、非自民、非共産の選択肢を示す責任を、もっと強く自覚すべきだ。
 昨年の衆院選の結果で野党共闘の見直し論が強まり、今回は乱戦となったが、野党側は与党と一騎打ちの構図でなければ渡り合えないことを露呈した。今後に向け、各党は大きな宿題を突きつけられた。
 投票率は46・53%(高知47・36%、徳島45・72%)だった。高知は前回より1・02ポイント上がったものの、依然50%に届かず、低調だったと言わざるを得ない。
 背景には、対立軸を鮮明化させなかった岸田政権の戦い方もあるだろうが、合区による部分が大きかったのは間違いあるまい。
 5月の県民世論調査では、3年前の調査に続き、8割以上が「合区を解消すべきだ」とした。選挙期間中も「なぜ地元代表を1人ずつ選べないのか」「候補者を見かけない」などの声が寄せられ、不満と弊害が改めて浮き彫りになった。
 自民は、候補を立てられない県を救済する「特定枠」を比例に導入し、今回は本県から梶原氏が優先的に処遇された。しかし、個人の活動が認められず、他の比例候補を邪魔しないよう露出を避ける選挙戦のいびつさは、言うまでもない。
 特定枠は弥縫(びほう)策であり、これから予想される合区対象県の広がりにも対応できる制度ではない。
 合区解消には、憲法が求める「投票価値の平等」と整合をとる作業が求められ、参院の役割を正面から議論していく必要がある。自民は直近2回の参院選で解消を訴え、今回も解消に向けた姿勢を訴えた。今度こそ、結果を示さねばならない。

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