2022.07.10 08:36
嶺北ナイン55年ぶり復活に拍手 全国高校野球高知大会 敗戦でも住民「大満足」
復活後初の公式戦に臨んだ選手に声援を送る嶺北高校の応援スタンド(高知市春野町芳原の春野球場)
ナイン全員にとって初の公式戦は、一回から8点を奪われ、その後も失点を重ねる苦しい展開となった。ただ、その分ストライク一つ一つの価値は重い。三谷大翔投手(18)の球が決まるたびに、スタンドの嶺北住民らは「よっしゃー、ええぞ、ええぞ」とつぶやき、拳を握った。
三谷投手の母、美智子さん(44)は、息子からこう聞いていた。「とにかく皆と練習できるのが楽しい。こんなに仲間ができて感謝しかない」。そんな思いを知るだけに、「グラウンドに皆が立っているだけで涙が出るほどうれしい」と喜ぶ。
試合が進むにつれて安打や盗塁といった見せ場が生まれ、スタンドは初得点を期待。「どんどん振ってけ」「まだまだいけるぞお」との声もマスク越しに聞かれたが、後が続かず「ああ残念…」とため息が漏れた。
試合後、後援会長の川村隆重さん(61)は「緊張したと思うけど、ヒットも出たし、十分戦ってくれた」とにっこり。「この子らのおかげで嶺北に球音と活気が戻ってきた。復活させてくれてありがとう」とナインをねぎらった。(谷沢丈流)