2024年 05月10日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.07.08 05:14

低層風、データで見える化 全日空、着陸の難敵克服へ

SHARE

 低層風データ共有のイメージ

 旅客機の着陸時、パイロットの難敵となるのが高度約千メートル以下の低層で吹く不規則な強風だ。着陸を断念するケースが多発し、事故を招く恐れもあり、航空各社は対応に苦慮している。全日空は2021年秋、機体に取り付けた機器で低層風を観測し、データを共有する取り組みを始めた。把握困難な自然現象を「見える化」し、安全性や運航効率の向上につながっているという。


 旅客機が主に飛行するのは約8千~1万2千メートルの空域で、一般的にほぼ一定方向の風が吹く。一方、着陸態勢に入る約千メートルより低層では、地形などの影響で風の向きや強さが安定しない。全日空では、気象条件によって着陸できず、引き返しや別の空港に向かった運航トラブルのうち、低層風が原因のケースは約20%を占めていた。


 低層風によって、機体が万全な姿勢で着陸できない場合もあり、パイロットが技量や経験で乗り切っていた。これまでの対応は、着陸後のパイロットから風の状況を聞き取り、地上の運航管理部門が後続機に注意を促す程度だった。


 改善策として、もともとは高層空域用として全機体に設置していた気象観測機器を活用。約千メートル以下の風向や風速を約150メートルごとに、約300メートル以下ではさらに細かく約75メートルごとに数値化し、顕著な変化があればすぐ着陸前の後続機に知らせるなど、情報伝達の仕組みを一新した。


 空港の管制官も低層風の情報を伝えているが、自社で詳細に把握することで、より安全性を高める狙いだ。昨年11月の運用開始後、低層風による運航トラブルは約6・5%に減少したという。

(c)KYODONEWS

国内・国際 N社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月