2022.06.24 20:00
【動画あり】YOSAKOIソーランってミュージカル!? 本紙よさこい担当記者が度肝を抜かれたド派手な演舞
「ニシンが来たぞーっ」の掛け声で一斉にニシンを掲げる踊り子たち
6月8~12日に札幌市で開催された「第31回YOSAKOIソーラン祭り」。高知新聞ではよさこい担当記者2人が新型コロナウイルスの感染対策を中心に、全日程を取材しました。2人とも高知市出身で、YOSAKOIソーランを実際に見るのは初めて。「よさこいは、高知が本場やきね」とか言いながら会場に乗り込み、“北のよさこい”に度肝を抜かれました。これは舞台? ミュージカル? 詳しくリポートします。(企画・構成=竹内悠理菜、浜田悠伽)
【高知新聞よさこい取材班】
竹内:入社10年目。1年目からよさこいを担当。「高知市子ども会連合会」で踊り始め、現在も会社のデスクに鳴子を常備する。
浜田:入社2年目。祭り自体の取材の経験はないが、「大橋通り踊り子隊」などで踊ったよさこい育ち。
■たった10年で、踊り子、観客数は高知の倍に
よさこい祭りは、1954(昭和29)年に高知市で始まりました。期間中は街が祭り一色となり、市民が鳴子を手に商店街を踊り歩きます。
その光景に北海道大学の学生が感動し、1992(平成4)年に札幌市で始めたのが「YOSAKOIソーラン祭り」。たった10年で参加人数と観客動員数が高知の2倍以上に達し、札幌から全国によさこいの輪が広がっていきました。
こんな経緯から、高知県民はYOSAKOIソーランに対して、対抗意識と羨望(せんぼう)、多少のやっかみが混ざったような複雑な思いを抱いています。
竹内:「正直、YOSAKOIソーランって、何となく好きになれんと思い込んで生きてきたでね。見たことないけど」
浜田:「ですね。私も、よさこいは高知のもんやきって思ってますね。まあ、どんなもんか行ってみましょ~」
■メイン会場は「西8丁目ステージ」 期間中の最低気温は10度
メインステージは、1400席あります
取材班が札幌入りしたのは8日。空港を出た瞬間、「涼しい」と「寒い」の間くらいの空気に包まれました。
浜田:「最低気温10度ですよ。高知は半袖やったのに」
竹内:「こんなに寒いのに、本当によさこいやるがやろうか」
浜田:「パレード会場もあるけど、メインはステージですね。ソーランって前に進まないイメージですもんね」
竹内:「そうそう。よさこいは前に進まんといかんのにね。ちゃんとやりゆうか、いろんな会場で見てみんとね~」
取材班が何も知らずに、少々失礼な会話を交わしていたのはこの時まで。演舞が始まると、2人して度肝を抜かれることになりました。
■大道具がどーん! 陰から踊り子がぱっ! 世界観がくるくる展開
祭りが始まりました。ステージに踊り子さんが走り出てきて、「よろしくお願いします!」とお辞儀をしてくれます。伸びた背筋とはっきりとした声。こちらも思わず背筋が伸びます。
さあ、いよいよ演舞スタート! と思ったら…。
竹内:「えっ…(絶句)。……何? これ、幕?」
浜田:「幕っていうか大道具。舞台装置みたい!」
ステージ上には、世界観をつくり出す大道具が登場しました。
演劇の舞台かと思うような幕が登場して、観客をワクワクさせます
竹内:「えっえっ、どうなるが? わー、幕が開いたー!」
浜田:「わっ! 踊り子さん、めっちゃ出てきましたけどっ」
竹内:「踊りのパートによって衣装が全然違う? 何種類あるがよ」
浜田:「また出てきたっ。太鼓、扇子、傘…数え切れん!」
竹内:「旗とか多過ぎじゃない? どれだけ隠しちゅうが!?」
幕が開き、踊り子が登場する様子は物語のよう
浜田:「これ、よさこいっていうか、ミュージカル!」
■きらめく衣装がめまぐるしく色チェンジ 脱いで、回して、はためかせて…
踊り子さんの衣装は、豪華絢爛(けんらん)そのもの。そして、高知のチームに比べると、厚着です。
竹内:「キラッキラの衣装が、照明に反射してめちゃくちゃ輝いてる。美しいね~」
浜田:「ですねえ。それにしても厚着ですよね。寒いきかな」
衣装は、ゴージャス系から渋い法被まで多種多様
竹内:「わっ、脱いだー!」
浜田:「そして回し始めたー!」
竹内:「と思ったら、裏返してまた着た!」
浜田:「色の変化がすっごくきれい。赤と青がくるくる変わって横から黄色がワ~ッ!みたいな。そうか、このための厚着だったんですね」
竹内:「すごい。高知ではできん演出でね。だって、8月は暑いもんね」
踊り子たちは、マーチングバンドのようにフォーメーションを変え、時に寸劇を交えながら演舞を進めます。踊り子たちの上には、10本以上の旗が大きくはためき、全てがダイナミック。取材班の胸は高鳴りっぱなし。
大量の旗と色を使った演舞は、豪快で迫力たっぷり
このため、「よっちょれよ」「よいやさの、さの、さの」など、高知でおなじみの掛け声ではなく、「ソイヤッ」「ドッセーハッ」「セイヤッ、ハッ」「どっこいしょ!」が響き渡ります。艶っぽいよさこい節ベースの曲とは違い、音楽も掛け声も勇ましく、北の大地っぽい雰囲気があふれます。
浜田:「YOSAKOIソーラン独特の動きってありますよね」
竹内:「あるある。天を仰いで『うおーっ』っていうポーズとかね。お決まりっぽいけど、既に癖になった」
浜田:「ですね。テンション上がりますもんね」
竹内:「はっ、この動きは何? 観客に背を向けて、みんなで前屈みになってゆーらゆら…。すっごい一体感!」
浜田:「わああっ、これ、波の表現ですよっ。さすがソーラン! ニシン漁の歌ですもんね」
仲間と息を合わせ、波になり切ります
祭り期間中の5日間、どっぷりYOSAKOIソーランの世界に浸った取材班。色んな会場を歩き回り、“北のよさこい”を堪能しました。
浜田:「はあ~、面白かった。全体的にすごく凝ってましたね。高知のよさこいと違い過ぎて、驚きました」
竹内:「いろんな場面ですごくきちんとしていたよね。フォーメーションも道具もこだわりまくりで、まさに『祭りというより、ダンスショー』」
浜田:「高知県民的には『ショー』って、全然褒めてなくて、どちらかというと、よさこいを分かってないんだから…的な意味ですよね」
竹内:「いや、実際見てみた今は、そんな意味じゃない! ここまで豪華路線で突き抜けられると、これはこれで素晴らしいと心から思える。感服!」
浜田:「ですね。めっちゃくちゃ面白かったですからね。私、もう笑いが止まらなくて」
竹内:「うーん、よさこいは深い。北海道の皆さん、食わず嫌いしててごめんなさい!」
意外と鳴子も持っていました