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2022.06.03 11:13

【ようこそ! 偉人館へ】かこさとしふるさと絵本館「砳」 子どものために理想貫く

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 「だるまちゃん」シリーズや科学絵本で知られる絵本作家、加古里子さん(1926~2018年)。生まれ故郷の福井県越前市にある「越前市 かこさとし ふるさと絵本館『砳(らく)』」は作品や愛用品を展示し、子どものために自らの理想を貫いた生涯を伝えている。(共同通信=酒井由起子)



 入り口では、代表作のキャラクターの人形に囲まれた、加古さんの写真が来館者を迎える。壁には絵本の場面が描かれ、おおらかな作品の世界が表現されている。


 1階の「えほんのへや」は、加古さんだけでなく国内外の作家の絵本や大型絵本、紙芝居など約5千冊をそろえ、貸し出しはしていないが、来館者が自由に手に取ることができる。


 「あそびのへや」では、昔のおもちゃで遊んだり、だるまちゃんの大きな人形などと写真を撮影したりできる。


 2階は「もとのえをみるへや」。原画や下絵の複製画などを数カ月ごとに展示替えしながら、加古さんの人柄や作品への思い、ゆかりの場所を紹介する。越前打刃物など地元の伝統工芸の技術を使い、作品に登場したキャラクターや乗り物を再現した展示もある。


 加古さんは小学2年まで約7年を同市で過ごした。東京大工学部在学中に終戦を迎え、大人の言うことをうのみに生きてきたと反省。それからは、子どもたちが自ら考えられる力をつける助けになろうと決意した。


 大学卒業後、化学会社に技術者として勤めながら、社会事業(セツルメント)に参加し、手作りの紙芝居を子どもたちに向けて演じた。そうした絵が出版社の編集者の目に留まり、33歳の時に絵本作家としてデビュー。セツルメントで子どもたちに見せていた紙芝居を基に、絵本「どろぼうがっこう」など人気作品が生まれていった。



【20年後も通用する絵本に】


 工学博士でもあった加古さんは、「かわ」「宇宙」など、専門家も感嘆する本格的な科学絵本を作った。子どもの絵本だから簡単なものでいいと考えず、内容が古くならないよう、20年後も通用する内容を心がけていた。


 細かいデータや情報を確認するため、専門書や図鑑の他、新聞や雑誌の切り抜き、本や論文のコピーなど大量の資料を集めた。最新の研究の動向についても専門家に意見を聞いたという。


 「越前市 かこさとし ふるさと絵本館『砳』」の谷出千代子前館長は「緻密に、納得するまで調べ上げ、専門家に確認した」と語る。

(c)KYODONEWS

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