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2022.05.26 16:32

【ぼくは芸人で塾講師で、二刀流】(5)完 コロナ禍の二刀流芸人 押田貴史

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 中学受験とお笑い、無縁なように見える二つの世界の出来事を、二刀流芸人がつづる。(5回続きの5完)


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 新型コロナウイルスは、塾講師としての働き方も劇的に変化させました。教室での対面授業が主流でしたが、オンラインで授業をしたり、授業動画を配信したりするようになったのです。対面でも集中力のない小学生に、リモートで集中させるのは大変な苦労です。


 画面をオフにして、話を聞いているのか分からない状態の生徒に呼び掛けてみるも返答はなし。授業終了までそんな調子だったので、もしかしたら画面の向こう側では、ゲームでもしていたのかもしれません。


 メモを取っている自分の写真を画面に固定して、一見すると真面目に授業を受けているように見えるという細工を施していた生徒もいました。慣れないリモート授業がストレスだったと思いますが、その労力を学習面に振り向けてもらいたい。


 お笑い界にもオンラインの波が押し寄せ、ライブは観客なしの配信が増えました。僕ら若手がライブに出る目的の一つは、ネタを強化すること。お客さんが笑わないところを修正し、次のライブで試す。そうしていつか来る晴れ舞台に備えます。


 しかし、配信ライブでは観客の笑い声が聞こえてこないんです。受けたか分からないどころか、体感では常にスベっている状態。つらすぎました。


 テレビ番組も無観客収録となり、これも痛恨の極みでした。「おまえらテレビ出てないだろ」と思った方、確かにその通りですが、「前説」ってご存じでしょうか? 収録前、観客に拍手や声出しのやり方を説明して、本番で盛り上がるための準備をする仕事です。


 コロナ禍以前、事務所の大先輩「爆笑問題」の出演番組で僕らも前説をしていました。しかし無観客で前説が無くなり、爆笑問題と話す機会がほぼゼロになったのです。


 正月にあいさつをした時、太田光さんは僕らの存在を忘れていました。田中裕二さんからお年玉をもらうのが恒例だった新年会も中止に。コロナよ早く収束してくれ。思い切りネタと授業がやりたい!(終わり)


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 おしだ・たかし 1985年横浜市生まれ。コントを主とするお笑いコンビ「シティホテル3号室」のメンバーとして活動しつつ、中学受験専門塾「ジーニアス」で国語講師を10年以上務めている。

(c)KYODONEWS

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