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2022.05.14 08:00

【よさこい復活】成功へ知恵と工夫を

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 炎天下、高知市の街頭のあちこちで、鳴子を持った踊り子たちの笑顔がはじけ、輝く―。そんな、よさこい祭りの風景が今夏、3年ぶりに復活する見通しとなった。
 新型コロナウイルスの影響で2020年、21年と連年で中止になったよさこいについて、主催団体の「よさこい祭振興会」が開催を決めた。例年の本番と同じ8月10、11日、高知市の追手筋など12会場で行う。
 会場数は例年の16カ所から減り、前・後夜祭も見送るなど規模は縮小する。公式の「第69回よさこい祭り」とは位置付けずに「特別演舞」とし、夏に感染が拡大していないことが開催の前提となる。
 もろもろの制約は付くものの、高知の夏の代名詞、風物詩がよみがえることに変わりはない。開催方針を歓迎するとともに、感染防止に留意をして「成功」と呼べる結果につなげてもらいたい。
 祭りの2年間の空白で、関係者には厳しい状況が生じていた。鳴子や衣装の製造業者は受注減で逼迫(ひっぱく)した。踊る機会がなくなったことで、チームの運営ノウハウが途切れかけたり、踊り子のよさこい離れが加速したりし、関係者らから「今年こそは」との声が聞こえていた。
 主催者が当初、開催を検討したのは県民体育館での代替イベントだった。ただ、それでは参加者や経済効果が限られると予想され、よさこいの醍醐味(だいごみ)である「追手筋会場」や「流し」が体験できる、通常開催に近い形になった。
 感染リスクもある中で踏み切ったのは、「このままでは祭りが次代に継承されない」との関係者の危機感が強かったからにほかならず、特別演舞が実現すれば、その意義は大きいと言える。
 ただハードルは低くない。踊り子と観客、会場の一体感が魅力のよさこいでもある。それをなるべく失わないようにしつつ、感染拡大を防がなければならない。
 主催者は既にいくつかの対策を示している。チームや踊り子には浸透させやすいだろうが、沿道の見物客らに徹底するのは難しさもあり、知恵と工夫が求められる。踊り子が出番待ちで滞留しないようなスムーズな進行管理も目指したい。
 通常開催に近い形となり、県民体育館案より多い参加者が期待できる特別演舞だが、もともと踊り子には医療、教育関係者らが多い。コロナ下では参加者は減るとみられる。地方車の制作など費用捻出に困るチームも出てくる可能性があり、負担軽減策が焦点の一つになっている。
 また、特別演舞の会場に、愛宕など四つの商店街は名乗りを上げなかった。いずれも長年、競演場として祭りを盛り上げてきたが、店舗の減少で会場を運営する人、資金の確保が苦しくなっているという。
 祭りの参加費用や会場運営の負担の大きさは、コロナ前から課題になっており、改めて浮き彫りになった格好だ。特別演舞を、将来のよさこいの在り方を考える機会にしていく必要もある。

高知のニュース 社説

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