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2022.05.04 08:40

高知城で珍木すくすく「3種で1本」の奇跡と、幹の中にタケノコ? 5/4は「みどりの日」

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高知城で育つ「お宝」の木。イヌマキの幹の左側からクスノキが伸び、根元にはクロガネモチがくっついている(写真はいずれも高知市の高知城)

高知城で育つ「お宝」の木。イヌマキの幹の左側からクスノキが伸び、根元にはクロガネモチがくっついている(写真はいずれも高知市の高知城)

 「これはお宝」と愛好家から評される珍しい木が、高知城ですくすくと育っている。1本のように見えるが、枝は全くの別種。3種が一体となり共存している。「高知城は木の博物館です」と話すのは、元四国森林管理局職員の徳善(とくぜん)政明さん(77)=高知市。「高知城の珍木・奇木探検」というパンフレットを作り、高知城の木の魅力を伝えている。きょう4日はみどりの日―。

 徳善さんに案内してもらって、高知城の石段を上がり、本丸東側の石垣に沿って歩く。そこに立つのは、推定樹齢400年、高さ18メートルのイヌマキだ。

 上空で細い葉っぱを付ける針葉樹…のはずが、1本の枝が青々とした丸い葉を広げている。地面から1・5メートルほどの高さで突然、広葉樹のクスノキが姿を現し、にょきにょきと斜めに伸びる。
「偶然が重なったミラクルな木」と説明する徳善政明さん

「偶然が重なったミラクルな木」と説明する徳善政明さん


 「不思議でしょ」。徳善さんいわく、その昔、イヌマキの枝が折れた。そこに穴があいて腐食が進み、地面まで空洞ができた。その穴に落ち葉が入って腐葉土を形成。クスノキの種子が運ばれて根を生やし、穴から細い幹を伸ばした―とみる。

 クスノキは推定樹齢100年。「種は風に乗ったか、リスが餌と一緒に運んだか。いくつもの偶然が重なったミラクルな木です」

 このイヌマキの根元から、さらに別の白い幹が上へと伸びる。樹齢100年のクロガネモチだ。根はこんがらがっていて、秋にはイヌマキとともに赤色の実を付ける。
幹から竹の枝が飛び出たスギ

幹から竹の枝が飛び出たスギ


 3種の木が1本に寄り添う姿に、「仲良しに見えるけど、それぞれ土の栄養を争い合って今の形に。家族みたいでしょ」。徳善さんが笑う。

 さらに城内を進む。三の丸手前に、高さ25メートルのひときわ大きなカヤがそびえる。樹齢は城内で最長老の600年。「お殿様の木。カヤは成長が遅く、ここまで育つのはなかなかない」

 城をぐるりと回り、今度は本丸の西側へ。林にあるスギの幹から竹の枝と葉が突き出ていた。幹の空洞でタケノコが育ったという。「コンクリートを突き破る竹の生命力を表した木です」

 高知城の立つ高知公園には、160種の樹木が育つ。

 徳善さんは森林管理局を定年退職後、病気になった木の治療や剪定(せんてい)をする「緑サポーター」として活動する。古木好きの仲間と県内を巡る中、身近な高知城こそ「宝の山」と気づいた。

 2008年、高知公園の面白い木を紹介するパンフレットを作成した。鹿の子模様のような木肌のカゴノキ、葉の裏をひっかくと文字が書けるタラヨウ、2本の幹が1本に合体したイスノキ…。案内ツアーを開いて子どもたちに楽しさを紹介してきた。

 「形や環境を観察すると、長年頑張って成長してきた様子が想像できる。あの木、何か変だなと思ったら、よーく見てみて」(高井美咲)

高知のニュース 高知市 自然・植物

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