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2022.04.13 08:40

高知県内の来春採用は「積極姿勢」主要30社、売り手市場で危機感も

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県内33社が参加した合同説明会(10日、高知市鷹匠町1丁目の三翠園)

県内33社が参加した合同説明会(10日、高知市鷹匠町1丁目の三翠園)

 高知県内企業の来春に向けた新卒者の採用活動が中盤に入った。高知新聞が主要30企業・団体から聞き取った採用計画では、新型コロナウイルスの影響が限定的となる中、人手不足や学生優位の「売り手市場」の強まりから人材確保に腐心する姿勢がうかがえる。

 高知新聞は3月中~下旬に、おおむね5人以上の新卒を継続採用している30社(製造業10、非製造業20)にアンケートを実施。前年の計画採用人数より「増やす」としたのは8社、「横ばい」は20社だった。「定員なし」「減らす」は2社にとどまり、積極採用姿勢が見える。

 増やす理由は「長期的な人員計画」「退職者補充」が多く、コロナ禍が直撃した2021年春と22年春の採用を抑制した宿泊・飲食2社もコロナ前の水準に戻すとした。

 城西館(高知市)は「補充しないと感染が収束したとき現場がしんどくなる。年齢層の空洞化も避けたい」。東京、大阪にも店舗を構える土佐料理司(同市)も「コロナ後を見据えて飲食業界は採用が活性化している」とする。

 技研製作所(同市)は前向きな経営戦略を挙げ、「男性の育休取得を進めており、若手が必要。海外展開強化のためにも、今のうちに新卒を教育したい」と回答した。

理系の争奪戦
 ただ、近年の売り手市場で、計画通りに採用できるかは見通せない。今春採用は8社が計画人数を確保できなかったとする。

 「理系学生は全国で獲得競争が激しく集まりにくい」との声は製造業や建設業などで聞かれ、内定後の辞退で計画が狂ったという声は業種を問わず多い。

 「先行きの不透明さから、内定を集める学生が多かったのでは」「オンライン選考は学生が受けやすい半面、内定の重みを感じにくい部分がある。つなぎ留めが大切」と振り返った。

 一方、順調に採用できた企業も。高知銀行(同市)は当初計画より10人ほど多く採用でき、「応募者が増え、コロナ下の地元志向の高まりを感じる」。衣料品販売のインターナカツ(同市)は「大手アパレルが採用枠を絞ったこともあり応募者はコロナ前より多い」と話した。

「ガクチカ」に不安
 コロナ下で3度目となる採用活動は、オンラインを活用した説明会や面接が定着。インターンシップで活用する企業も増えた。学生が就職情報サイトに自らのアピールポイントを記し、企業が連絡する「オファー型」も広がる。

 ただ、「しぐさや振る舞いが見えず、人柄がつかみにくい」との声も根強い。「できる限り対面で」との思いは各企業に共通する。

 業務のデジタル化を意識し、ITに強い人材を確保する動きも出てきた。四国銀行(同市)は「金融業界でも重要度が増す分野」として、理系学生に特化したインターンを始めた。

 就職活動で学生に必ずといっていいほど尋ねる定番の質問が「学生時代に力を入れたこと」。就活業界では略して「ガクチカ」と呼ばれるが、大学生活の大半をコロナ下で過ごした学生はPRが難しそう。

 サークル活動やボランティア活動、アルバイトなどが制限されたこともあり、「ガクチカが不安な学生は多いと思う」と、ある採用担当者。「採用側からすれば、コロナ下で何をどう工夫して活動したか、気持ちをどう切り替えたかを尋ねて人となりを見たい」と話した。(高知新聞取材班)

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