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2022.04.03 08:35

のぞき込む...小さな和の世界 「遠近法の匠」島木さん 日本建築ミニチュアの個展、南国市で

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新作となる京都の町家の数々。島木英文さん(右)は「空間に包まれる感覚を味わって」と話す=写真はいずれも南国市大そね甲の海洋堂SpaceFactoryなんこく

新作となる京都の町家の数々。島木英文さん(右)は「空間に包まれる感覚を味わって」と話す=写真はいずれも南国市大そね甲の海洋堂SpaceFactoryなんこく


寺田寅彦記念館。リュウゼツランや床の間の飾りも精緻に再現した

寺田寅彦記念館。リュウゼツランや床の間の飾りも精緻に再現した

 石灯籠の庭が奥に浮かび、坪庭の淡い光が情緒を醸し出す。南国市の「海洋堂SpaceFactoryなんこく」で、明治―昭和期の日本建築を精緻にミニチュア化した企画展「記憶の箱舞台」が開かれている。5月15日まで。火曜休館(5月3日は開館)。

※右上の「全ての画像を見る」ボタンから、全5枚の写真をご覧いただけます

 ミニチュアアート作家の島木英文さん(71)=山口県岩国市=が、1級建築士の腕を生かして制作した24棟。「寺田寅彦記念館」(高知市)、小泉八雲旧居(松江市)、300年前のたたずまいを残す油商人宅(山口県)などを、木箱の中で再現した。
町家の奥には石灯籠の庭が浮かび上がる

町家の奥には石灯籠の庭が浮かび上がる


 「遠近法の匠(たくみ)」と評される島木さん。ミニチュアは縮尺20分の1を基本としつつ、奥側をさらに縮小する技法で、木箱内の空間を超える奥行きを表現した。障子越しに差し込む柔らかな光や奥に潜む闇といった明暗も、巧みに取り入れている。

 太宰治の生家とされる斜陽館(青森県)のミニチュアは、玄関から奥の米蔵までの土間空間を再現。「何の趣もない」と記した太宰の感情を踏まえ、あえて光を抑えた。

 見える範囲を狭め、見る人の意識を奥へといざなう箱舞台。島木さんは「のぞき込むほど発見がある。カメラマン気分で視点を変え、小さな世界を楽しんで」と話している。

 観覧料300円で、保護者同伴の中学生以下は無料。4月10、11日には島木さんが来館する。問い合わせは同館(088・864・6777)へ。(横田宰成)

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