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2022.03.26 08:00

【G7サミット】制裁逃れに強い包囲網を

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 ウクライナに侵攻したロシアへの制裁を各国が相次いで表明している。先進7カ国(G7)首脳会合は、追加的措置を取る用意を打ち出した。また、制裁逃れを防ぐため緊密に協力することを確認した。
 早期に停戦し、ウクライナ全土からロシア軍が撤退しなければならない。対策の実効性が問われている。制裁を完全に実施することで圧力を強めていくことが急務だ。
 市民への無差別攻撃が行われ、犠牲者が増え続けている。国内外へ戦火を逃れたウクライナ人は1千万人に上る。危険地域から逃れられない人も多い。ウクライナ軍は反撃で、首都キエフ東方のロシア軍部隊を後退させたようだ。だが、長期戦になれば消耗は避けがたい。
 人道支援の強化を急ぐ必要がある。戦闘激化で住居が破壊され、病院や避難所、商業施設も攻撃対象としている。医薬品の不足など、医療体制も厳しくなっている。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、非人道的として国際的な批判が強い「白リン弾」をロシア軍が使用していると証言した。大規模な生物・化学兵器や核兵器の使用が懸念される。原発への攻撃は引き続き行われかねない。こうした状況から脱却しなければ極めて危ない。
 G7は、経済制裁を完全に実施し、ロシアに厳しい結果をもたらす決意を示した。焦点となるのは中国の対応だろう。
 中国に対しG7は、ロシアを支援せず、制裁回避を手助けする行為を自制するように求めた。北大西洋条約機構(NATO)も緊急首脳会議で同様の要求を掲げた。
 国連総会は先に、ウクライナからの無条件での即時撤退を求める決議案を圧倒的な賛成多数で可決している。ロシアの孤立は明らかだ。
 しかし中国は棄権し、厳しい視線が向けられた。米中首脳会談でも、習近平国家主席は停戦を求めたが、大規模な対ロ制裁には反対している。それでも外交解決を支持する姿勢は示した。そのための具体的な取り組みが求められる。
 結束して制裁逃れを防ぐことが重要となる。制裁に強力な即効性があるわけではないが、それでも粘り強く取り組んでいくことが必要だ。
 対中包囲網にしても温度差はある。国によってはけん制はしても、経済的な関係から決定的対立を避けたい思惑がある。
 しかし影響は既に広範囲にわたっている。経済では、新型コロナウイルス禍からの活動再開で原油や食料品価格が上がり、ロシアの侵攻後はさらに高騰した。戦争を終結させなければ世界経済の回復は難しい。
 NATOはロシアの脅威が長期的に続くとみて、NATOの多国籍軍を新たに東欧4カ国を含む計8カ国で展開することにした。ロシアは自らが緊張を高めていることを自覚する必要がある。
 偶発的な事態を招かないよう、警戒を怠れない。力による現状変更は認めず、平和的解決への道筋を探る。その姿勢が基本だ。

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