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2022.03.06 08:00

【高知の措置解除】意思疎通に努めなければ

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 新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置は、適用中の高知県など13県は6日の期限で解除し、18都道府県は延長する。
 全国ベースの1日当たりの新規感染者数は減少傾向にある。しかし、減少の勢いが鈍化し、都市部を中心に病床使用率も高水準にある。岸田文雄首相は、自治体の意見も聞いて慎重に判断したと説明する。
 専門家からは、2月上旬にはピークを越えたとする見方も示されていた。このため「出口戦略」への意識が強まった。6日で全面解除し、社会経済活動の再開を強く印象づけたい思惑が指摘された。減少の勢い次第では一部前倒しも取り沙汰されたが、政府の目算は外れた格好だ。次の局面へと準備を進めるとした首相の意気込みは上滑り感が漂う。
 今回の感染「第6波」では、施設のクラスター(感染者集団)が多く発生した。基礎疾患のある高齢者が感染し、重症者や死者数が増えている。専門家は、大都市部の感染レベルは依然として高く、地方の改善状況も弱いと分析する。
 ワクチン3回目接種は1日当たり100万人を超える日もあり、接種率は20%を超えた。とはいえ、その遅れが、感染状況が改善しない一因に挙げられる。解除県も感染防止へさらなる取り組みが怠れない。感染力がより強いとされる派生株への置き換わりにも警戒が必要となっている。
 高知県でも、新規感染者は減少傾向とはいえ200人前後と高止まり状態にある。減少ペースは遅くなり、感染者は緩やかに3月下旬まで続くとの見方もある。
 そうした中での措置解除だけに、まだ早いのではないかと危惧する声も聞かれる。それだけに、理解を得る努力をしないと施策全般への信頼にも関わりかねない。
 措置の適用申請を巡り、県は判断が遅かったのではないかと県議会でただされた。これに対し浜田省司知事は、医療の逼迫(ひっぱく)度合いを示す病床占有率を重視した結果だと述べている。また、第6波は飲食店が感染拡大の主要因ではなく、措置が感染抑制の切り札にならないと判断したとも説明した。
 確かに四国内でも、効果への疑問などから適用申請を見送ってきた県もある。各県の感染者数が過去最多を更新する中、適用の判断が分かれたことになる。それがどう影響したかは分析を待ちたいが、そもそも措置の在り方は常に問い直さなければならないものではある。
 ここで重要なのは、一連の対応が理解されているかだろう。解除要請について知事は、病床占有率や新規感染者数は改善傾向にあり、条件はそろっていると説明した。また、適用を延長しても急激な収束は期待しづらいとして、引き続きの警戒を呼び掛けてもいる。
 ならばなおさら、方針や施策の意図をしっかりと伝え誤解を排除しないといけない。情報発信が乏しいと与党議員から苦言を呈されたことを忘れず、県民とのコミュニケーションに努めることが大切だ。

高知のニュース 社説

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