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2022.02.26 08:00

【ロシア制裁】結束して厳格姿勢を示せ

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 ロシアが軍事侵攻したウクライナでは、死傷者が400人を超えたと伝えられる。大規模紛争に発展すればさらなる増加は必至だ。
 罪のない人々に犠牲を強いてはならない。ロシア各地でも軍事行動に反対する市民のデモが行われている。ロシアに軍事活動の即時停止と撤収を繰り返し求める。
 各国は制裁を打ち出しながら侵攻回避を迫ってきたが、効果を発揮しなかった。新たな悲劇を生み出さないために、厳格な対応を重ねていかなければならない。国際社会は結束を示すときだ。
 ロシア軍はウクライナに3方向から侵攻し、一部地域を掌握した。また地上施設への空爆が続いていると伝えられる。住宅を追われた避難民は10万人に上ると推定され、数千人が隣国に逃れたという。
 侵攻は国連安全保障理事会の緊急会合中に強行した。常任理事国ロシアの行動に安保理の欠陥が白日の下にさらされた。グテレス事務総長が無力感を示すのももっともだ。
 プーチン大統領はウクライナがロシア攻撃の前線基地になることを警戒している。しかし、北大西洋条約機構(NATO)への早期加盟は現実的ではない。それでも、ウクライナが核保有を狙っているとまで疑いを向ける。
 ロシア軍は、爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発を制圧したようだ。敷地内の放射性物質が兵器利用されることへの警戒とみられる。
 プーチン氏は核保有国であることを誇示し、核兵器使用の可能性も示唆している。疑念は偶発性を高め、取り返しのつかない事態を招きかねない。「その戦争に勝者はいない」とも述べ、重大性は理解しているようだ。ならば早期の完全撤収はもとより、核をもてあそぶような言動は慎むべきだ。
 バイデン米大統領は追加制裁を発表した。制裁で合意した欧州連合(EU)や日本、英豪などと協調して発動したと強調した。プーチン氏は制裁への準備はできていると対決姿勢を崩さないだけに、実効性のある対策を進める必要がある。
 岸田文雄首相は、制裁強化策について、国際社会との連携の強さを示すと狙いを説明する。
 ロシアがクリミア半島を一方的に編入した際、米欧は制裁を打ち出して対立は先鋭化した。日本は米欧との協調を重視して足並みはそろえても、一段の踏み込みは避けてきた。北方領土交渉を抱えて刺激を避けたいのは当然だが、対応が緩いと誤ったメッセージとなりかねない。厳格な姿勢が欠かせない。
 各国の協調が動向を左右する。国際決済ネットワークからのロシア金融機関の排除は先送りされた。ロシアにエネルギー依存度が高い欧州には自国への影響を懸念する意見が根強いことが関係している。
 原油は侵攻による供給停滞を懸念して高騰している。ロシアの主要輸出品である小麦も急上昇した。まず軍事行動をやめさせないと影響の拡大は避けられない。

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