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2022.02.19 08:00

【トンガの復旧】生活再建へ継続的支援を

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 海底火山の大規模な噴火と津波が起き、南太平洋の島国トンガが被災して1カ月がたった。
 首都ヌクアロファのある島や海抜の低い離島で多くの家屋が失われ、全土に火山灰が堆積している。今月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大にも見舞われ、トンガは二重の困難に直面している。
 感染防止対策と復興を両立させる必要がある。国際社会は連携して、現地の実情に応じた支援活動を展開したい。
 噴火は1月15日に起き、直後に押し寄せた津波で3人が亡くなった。人口約10万7千人のうち8割を超える国民が被災し、今も2千人以上が避難生活を強いられている。
 噴火で海底ケーブルが損傷し、インターネットの利用も難しい。通信障害が復旧の妨げにもなっている。
 そんな中、新型コロナの感染がほぼゼロだったトンガで、初となる市中感染が判明。首都はロックダウン(都市封鎖)に入り、大半の国民は自宅待機を余儀なくされている。
 もともと医療体制が貧弱な上、病院なども被災している状況で、感染拡大への危機感が高まっている。復旧作業も思うように進まず、飲料水や食料も不足している。国際的な支援が強く求められている。
 日本政府は約2億6千万円の緊急無償資金協力を決めた。トンガの周辺国であるオーストラリアやニュージーランドに続き、援助物資の輸送にも乗り出している。
 コロナ対策として、海外から現地に運んだ物資の受け渡しは、飛行機や船の中で済ませるなど「非接触方式」で行われている状況だ。
 日本は海上自衛隊の輸送艦で水や食料のほか、火山灰を除去する機材や防じんマスクを届けた。トンガでは雨水をタンクにためて使うことが一般的だが、屋根や雨どいが火山灰で汚染されて困っているという。
 こうした生活再建に役立つ物資の提供に力を入れたい。本来なら人員も投入して復旧作業を手助けしたいところだが、今は感染防止対策を最優先とする現地の意向を尊重すべきだろう。
 東日本大震災を経験し、火山国でもある日本には、災害復旧に関する知見とノウハウがある。現段階でも、日本ならではの視点を生かして貢献できる部分は多いはずだ。
 トンガ沖噴火では、約8千キロ離れた日本列島の太平洋沿岸にも津波が押し寄せた。県内でも30隻近い漁船が転覆したり流失したりする被害が出た。
 トンガは高知県と関係が深い国でもある。2016年に黒潮町で開かれた「世界津波の日 高校生サミット」にはトンガの生徒が参加。19年のラグビーワールドカップ日本大会では、トンガチームの事前キャンプを受け入れた。
 その後も交流は続いており、親しみのあるトンガの被災に胸を痛めた県民は多かった。県が設けた義援金口座などに寄付が集まっている。今後も善意の輪を広げ、生活再建を目指すトンガの人たちに届けたい。

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