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2022.02.12 08:00

【文通費見直し】国民の厳しい目自覚せよ

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 国会議員に月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費」の見直しに関する与野党協議が始まった。
 野党が主張する使途の公開に与党が応じるかどうかが焦点になっている。何にどれだけ使われているのか、チェックすることができない政治資金のあり方に、国民の理解は得られまい。透明化に向けた見直しは急務といえる。
 国会議員には期末手当を加えて通常は2千万円を超える歳費が支給されている。これとは別に原則毎月2回、50万円ずつが文通費として議員本人の口座に振り込まれている。
 使途として書類の発送などが想定されており、一般の社会常識からいって、領収書を添付して実費精算する経費の類いだろう。
 地方議員に支給される「政務活動費」を巡っては、支出基準を自治体が定めるほか、使わなかった分は返還している。高知県議会では領収書の添付を義務付け、それを含む全書類を公開している。
 だが、国会議員の文通費は使途公開も、余った分を返金する必要もない。どんなふうに議員活動に使われているのか、実態はブラックボックスと言える。「第2の歳費」という別名には、主権者である国民が使途を検証することもできない状況への批判も込められていよう。
 今回、見直しの議論が始まった発端は、昨年10月31日の衆院選で当選した新人議員が10月分を満額支給されたとして、日本維新の会が問題提起したことだった。
 先の臨時国会では、野党側は日割り支給に加えて、使途の公開と未使用分を国庫に返納できるようにする法案を提出した。これに対し、与党側は日割り支給の優先を主張して折り合いがつかず、法改正は見送られた。
 国民感覚とあまりに懸け離れていよう。共同通信が昨年12月に実施した世論調査では、取るべき対応として「日割り支給に加え、使い道の公開なども義務付ける」とした人が8割を超えている。
 協議を始めた与野党6党は、日割り支給への変更は合意済みで、今国会中に結論を出すことで一致している。ただ、議論は難航が必至とされる。与党が使途公開などを受け入れるのに難色を示しているとの見方がある。過去にも法改正の動きはみられたが、実現しなかったいきさつがある。
 文通費が相応だった時代もあっただろう。かつては、長距離電話料金など通信費用も高額だった。しかし、通信手段が多様化し費用が安くなった今でも、既得権益化して、自主的に見直されることはなかった。自浄作用は極めて乏しいというほかない。
 有権者は繰り返される不祥事で「政治とカネ」のあり方に厳しい目を向けている。それを自覚し、政治資金についても透明性を確保する姿勢が不可欠になっている。
 国会議員一人一人の姿勢が問われている。夏の参院選に向けて、真剣に向き合う必要がある。

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