2022.02.08 08:45
飲食店「やっと」「今さら」...まん延防止、高知県要請へ賛否 既に客足減り売上減
感染拡大で入場者が減っているひろめ市場(高知市帯屋町2丁目=森本敦士撮影)
「はあ、これでまた来れんなるのか…」
高知市の「ひろめ市場」。赤ワインを片手に2人で晩酌中だった会社役員の男性(47)は残念そう。周りで飲んでいるのは、多くが少人数のグループだ。
運営するひろめカンパニーの担当者は「1月中旬から客がガクッと減った。実質、昨夏の『まん防』の時ぐらいまで人は減っていた」。近く営業時間を決めるという。
重点措置を巡っては、飲食業者を中心に適用を求める声が上がっていた。浜田知事は当初、「飲食など特定事業者のみに負担をかける対策を講じるのが良いのか」と効果を疑問視していただけに、転換に対する反応はさまざまだ。
高知市中心部でバーを営む40代の男性は「正直、救われました。何もないままだと僕たちは生殺しのまま終わっていたので。(協力金で)店が続けられるという希望が持てる」と安堵(あんど)の様子。
高知市杉井流の居酒屋「さんとう」を経営する谷岡武司郎さん(67)も「早く『まん防』を、と思っていた」と歓迎。一方で「これまで県の要請に全部まじめに応じてデリバリーの工夫もして、必死でやってきた。でも、借金もつれですよ」と声を落とした。
県中東部のバー経営の40代男性は「協力金が出るだけでありがたい」。家賃などで月20万円以上の経費が必要で、「感染者が100人を超えた時点で検討してほしかった」と苦言も呈した。
一方で、「なんで今さら。感染が増える前に出すのが『まん延防止』やないんか!」と、まくしたてるのは高知市で居酒屋を経営する40代男性。赤字を減らすことばかり考えていた先月、浜田知事が発した「会食が感染拡大の主要因ではない」との言葉に納得がいかないという。
「だったら、飲みにいけるようにする努力をしてほしかった。死んだような飲食街の実情を、県は少しも分かっていない」
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今回の県方針では、県が認証した「高知家あんしん会食推進の店」であれば、協力金を得て、非認証店より1時間長い午後9時までの営業が可能で、午後8時までなら酒類提供もできる。
南国市でレストランやホテルなどを経営するグッドラックカンパニーの白山早苗社長(65)は「認証店として協力する。早期の収束を祈るばかり」。
来客は家族連れがメイン。日中に酒類はほとんど出ないが、宿泊客には需要も多く、酒類を提供しながら午後9時までレストランを営業していく方針だ。同社スタッフは、アルバイトを含め150人ほど。「一律の協力金ではなく、規模に応じた支給を」と注文を付けた。
非認証店からは反発の声もある。
「なぜ飲食ばかりターゲットにされるのか。クラスターはいろんなところで出てるやんか」。高知市の居酒屋経営の60代男性は「協力金じゃとても足りない。自分の店でできる感染対策はやっている。県や国が何を言おうが関係ない」。要請に応じるつもりはないと語気を強めた。
四万十市の中心街で居酒屋を営む60代男性は、「認証店とそうじゃない店で(対応を)分けるのはどうなの」と疑問を呈し、「居酒屋が酒を出せんなら休むしかないよ」とうめいた。(高知新聞取材班)