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2022.02.08 08:00

【1日100万回接種】実現へ細やかな対応を

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 新型コロナウイルス感染の「第6波」が続いている。新規感染者数が10万人を超える日もある。高知県内も200人台を記録した。
 急速に拡大するオミクロン株に対応するため、岸田文雄首相はワクチンの3回目接種に関し、月内の早期に1日100万回を目指す考えを明らかにした。3回目接種が発症予防や重症化予防の要になるとの認識を示している。
 これまで目標設定に消極的だった首相が姿勢を一転させたのは、遅れへの批判が強まっているからだろう。首相は明確な目標を掲げて、政府一丸となって接種を加速させると意欲的だ。それはいいが、数字を裏付けていくだけの態勢を整えなければ現場を混乱させてしまう。きめ細やかな対応が必要となる。
 コロナ対応のまん延防止等重点措置の適用は35都道府県に上る。13日まで適用中の13都県は延長する方向のようだ。一部に感染増加の伸びが鈍化した県もあるが、警戒を緩められる状況ではない。
 そうした中でも3回目接種は5%ほどにとどまる。厚生労働省が2回目からの接種間隔を8カ月以上としていたため、自治体の多くがその想定で準備した。ところが感染拡大で前倒しへと方針を変更し、自治体の対応が追いつかなかったことが一因に指摘される。
 接種の遅れにいらだちも募る。自衛隊が運営する大規模接種会場の予約が短時間で埋まる状況を見ると、政府の判断が住民の思いに寄り添っていたとは思えない。爆発的に拡大したオミクロン株の特殊性が影響したとはいえ、第6波は想定されていただけに不手際が際立つ。検査キットは不足し、高知県などで濃厚接触者の「みなし陽性」も運用される。
 また、3回目接種の停滞には、ワクチンの交互接種への懸念も関係しているようだ。3回目への供給は米モデルナ製の割合が高く、人気が米ファイザー製に偏ることを課題とみる自治体が多い。丁寧に説明して理解を得なければ、円滑な運営が難しくなりかねない。
 国の調査では、全国の市区町村の97%が、希望する高齢者らへの3回目接種を2月末までに完了する。ここから1日100万回程度の接種を想定したという。首相は自治体接種の前倒しや職場接種の積極活用などの働き掛けを関係閣僚に指示した。
 菅政権も1日100万回を掲げ、達成している。軌道に乗せれば実現可能ということだ。実施状況を丁寧に把握し、それに応じた積極的な対応をとることが求められる。
 感染者数が本格的に減少するのは、ワクチン3回目接種の効果が見込まれる2月下旬からとする専門家の意見がある。一方で、ピークを過ぎても急速な減少は期待しにくいと慎重な意見が出ている。
 さらに、感染者数が峠を越しても重症者は少し遅れて増えるという。高齢者に感染が広がり、基礎疾患の悪化も目立つようになった。一般医療への負荷が懸念される。首相が掲げる先手の対応は今も必要だ。

高知のニュース 社説

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