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2022.02.07 21:21

【五輪コラム】美帆は「最高の女性アスリート」を目指す 1500m連続「銀」で通算メダル4個目

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 スピードスケート女子1500メートル 滑走する高木美帆=7日、北京(共同)

 スピードスケート女子1500メートルで、高木美帆(日体大職)が五輪2大会連続の銀メダルを獲得した。高木は前回平昌大会での金(団体追い抜き)銀(1500メートル)銅(1000メートル)の3個に続く、通算4個目のメダル。日本の冬季スポーツ史にまたその名を刻み、さらに「最高の女性アスリート」の座を目指していく。


 ▽ブストに再び惜敗


 陸上競技の800メートルや1500メートルと同様に、中距離走に当たるスピードスケートの1500メートルは、速さと持久力の双方が求められる難種目だ。スケートではその上で、カーブをロスなく回る技術が必要になる。


 優勝したイレイン・ブスト(オランダ)は平昌大会でも高木より前の組で滑って好タイムをマーク。最終組だった高木は懸命に追ったが、わずか0秒20差で惜敗した。今回も最終組の高木は、平昌と同じように3組前を滑って五輪新記録をマークしたブストを照準にレースを組み立てた。500メートルや1000メートルのスプリント種目でも強い高木は、最初の300メートルをトップの25秒10で通過し、700メートルの通過でもブストを上回っていた。


 しかし、1100メートル地点で0秒03遅れ、最後の1周のラップはブストの30秒81に対し、高木は31秒22。この差がゴールでの0秒44差となり、メダルの色をまたもや分けた。


 35歳になってもパワーを維持し、五輪連覇を果たしたブストの偉大さを褒めるしかないだろう。難しい中距離で2大会連続2位の高木の健闘も十分にたたえねばならない。


 ▽「スーパー中学生」の挫折と成長


 高木は2010年のバンクーバー五輪に中学3年生で初出場。「スーパー中学生」と騒がれながら臨んだ大舞台は1500メートルが23位、1000メートルは完走者で最下位の35位と世界の壁に跳ね返された。14年ソチ五輪は代表争いで落選し大きな挫折を味わった。18年平昌五輪で大きな飛躍を果たすまでにさまざまな試行錯誤を繰り返した。平昌後もさらなる進化を求め続けた。


 短距離から中長距離までのオールラウンダーへの挑戦はその一環だった。高木はテレビインタビューで自らの特性を次のように分析していた。「自分はなんでもできるが、突出したものがなかった。だったらすべての力を上げればいい」


 その結果、18年の世界選手権のオールラウンド部門で総合優勝し、500メートルと1000メートルでの世界選手権スプリント部門でも20年に優勝するなど総合力を極みまで高めた。最も得意で世界記録も持つ1500メートルは「すべての能力が平均的に発揮できる種目」だから自信があるのだと言う。個人種目での悲願だった金メダルは持ち越したが、今後も挑戦は続く。


 ▽女子で通算最多メダル獲得も


 前回の平昌大会で日本は過去最多の13個のメダル(金4、銀5,銅4)を量産。そのうち女子は金3、銀2、銅3の8個を獲得する活躍ぶりで、日本の躍進に大きく貢献した。


 しかし過去の冬季五輪では日本の女子は表彰台にたどりつくのも至難だった。前々回のソチ大会までに日本女子が獲得した通算メダル総数はわずかに11個。金メダルは1998年長野大会の里谷多英(フリースタイルスキー・モーグル)と06年トリノ大会の荒川静香(フィギュアスケート)の2人しかいなかった。


 スピードスケート女子のレジェンドといえば、真っ先に橋本聖子の名前が挙がる。橋本は冬季五輪に4大会連続出場し、自転車で夏季五輪に3大会に出た。スピードでは88年カルガリー大会では全5種目入賞の快挙。92年アルベールビル大会の1500メートルで獲得した銅メダルは、冬季大会での日本女子の初メダルだった。


 先駆者橋本と同様に短距離から中長距離までこなすオールラウンダーの高木は、成績上では「五輪の申し子」と呼ばれた橋本を追い越している。今大会では、500メートル、団体追い抜き、1000メートルでさらにメダルの上積みを狙う。


 五輪での日本女子の個人通算メダル数で、既に4個の高木は冬季ではトップ。夏季五輪でも柔道の谷亮子(金2、銀2、銅1)らの5個が最多だから、残り種目の活躍によっては夏冬通じての女子選手で最多メダルコレクターになる可能性がある。(共同通信・荻田則夫)

(c)KYODONEWS

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