2022.02.03 08:00
地空 カーナビとCD デジタル編集部・飯野浩和
今やサブスクリプション全盛の時代。音楽配信サービスは、年間にしてアルバム4枚ぐらいの料金で、数千万曲が聞き放題なのだから、スマホをナビにつなげばいいというわけだ。
小さな画面でお目当てを検索すれば、関連する曲や似通ったジャンルの曲もお薦めしてくれるから、CD店で試聴していた頃とは隔世の感がある。
車で思い出したのは、カセットテープ型のアダプターを車載デッキに差し込み、ポータブルCDプレーヤーとつないだ20年余り前。初心者マークの車内でお気に入りを聴きながら、ハンドルを握った高揚感は昨日のことのようだ。
音楽を聴く目的は、気分転換だったり、没入感を求めていたり。ジャケットを見て所有する喜びに浸り、曲を選んでケースを開け、歌詞カードを開いて円盤をセット…。一見面倒な作業にも充足感があるものだ。
2021年、1日の携帯・スマホ利用時間は約140分で、06年の11分から実に12倍超になったという(博報堂DYメディアパートナーズ調査)。「5G」や「メタバース(仮想空間)」といった技術革新が続き、利用時間はさらに延びていくのだろう。
幼なじみと話す隣で「CDで聞きたい曲もあるのよね」と、今でもお気に入りの曲は買いたがる妻がつぶやいた。
願うのはスマホ一択ではなく、選べる自由だろうか。スマホを置き、CDを聴く時間も悪くない。