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2021.12.18 08:00

【ウクライナ緊張】ロシアは侵攻を自制せよ

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 ロシア軍がウクライナ国境近くに9万人を超える部隊を展開し、軍事的な緊張が高まっている。
 米欧などはロシアが侵攻する懸念を深めている。先進7カ国(G7)外相会合では、侵攻すれば「厳しい代償が伴う」と強く警告した。
 当然ながら、国境変更のための武力行使は国際法で厳しく禁じられている。ロシアは侵攻を思いとどまり、軍部隊を直ちに撤収しなければならない。外交努力で緊張緩和を図るべきだ。
 米報道によると、米情報機関の分析では来年初めにもロシア軍が攻撃に踏み切る可能性がある。それだけ事態が逼迫(ひっぱく)しているとみてよい。
 2014年、ロシアはウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入した。隣国の主権と領土保全をまたもや侵害する暴挙は許されない。
 G7外相会合に先立って、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領がテレビ電話で会談した。
 バイデン氏は深い懸念を伝えた上で、侵攻すれば強力な経済措置や同盟国への軍事支援強化で対抗すると警告した。
 一方、プーチン氏は北大西洋条約機構(NATO)の方が黒海やロシア国境近くで軍事力を増強していると反発。双方の主張は平行線をたどったが、担当部局が継続して協議することで一致した。
 ロシアの軍事行動を止められるのか。米欧は大規模な経済制裁を調整している。実効性のある対抗策を打ち出しながら、対話を進めて解決への糸口を探ることが欠かせない。
 ロシアはNATOの東方拡大と、米国によるミサイル防衛システムの配備拡大を強く警戒している。
 長年、自国勢力圏とみなしてきたウクライナがNATOへの加盟を目指し、米欧寄りの姿勢を鮮明にしていることに危機感を募らせている。
 米欧側に対し、ロシア側はNATOのこれ以上の東方拡大や、ウクライナに軍事インフラを整備しないよう「法的保証」を求めている。
 ロシアがウクライナの「支配」にこだわるのは、安全保障上の理由はもちろん、民族的にも歴史的にも「一体」との意識が強いためだ。
 だが、NATO加盟を目指すのはウクライナという独立国家の主権に基づく判断だ。ロシアが介入して阻止しようとするのは筋が通らない。
 今月25日は、旧ソ連が崩壊して30年の節目である。ロシアとウクライナは旧ソ連の構成国だった。
 この時期にプーチン氏が侵攻の動きを見せたのは、国内の愛国主義を刺激し、支持率の回復につなげようとする意図も感じられる。14年のクリミア編入にロシア国民は熱狂し、プーチン氏率いる与党が選挙で躍進する原動力になった。
 ロシアが武力による現状変更でウクライナと一体化を図ろうとする構図は、中国と台湾の関係にも通じる部分がある。
 ウクライナ情勢は対岸の火事ではないと考えるべきだろう。日本も国際社会と協調し、ロシアに自制を求める働き掛けを強めたい。

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