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2021.11.21 08:00

小社会 小春日和

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 休日の暖かな日中。家の近くの小道を歩くと、頭上にたくさんの蜘蛛(くも)が巣をかけていた。両脇の街路樹に張り渡すようにして。「蜘蛛にも性格がある」と指摘するのは故向田邦子さん。

 丹念に絵を描いたような見事な巣をつくるのがいる。かと思えば、空中に糸で2、3本の線を引き、その間をジグザグに万年筆の試し書きのような線で結ぶだけ。手抜きの巣をつくるのもいる(「女の人差し指」)。

 なるほど、「蜘蛛の巣の道」もよく見るとそんな具合である。きちょうめんな蜘蛛がいれば横着者もいるということか。作家の観察眼には恐れ入る。

 この時季、冬はそこまで来ていても、思いがけなく穏やかな日和が訪れる。小春日和。それをドイツでは「老婦人の夏」と言う。かの国は高緯度なので日本より早く、9月末から10月前半に小春日和が訪れる。それにしてもなぜ老婦人の夏?

 一説ではこのころ風に乗って空を飛ぶ蜘蛛の糸から、白髪を連想したとされる。こちらはお天気博士、故倉嶋厚さんの「季節の366日話題事典」に教わった。働きづめだった女性が老年に近づき、平穏な日々に恵まれる。そんな意味も込められているのだろう。

 木枯らし、時雨、小春日和…。天気の変化を繰り返しながら冬に向かう。それは人間の晩年にも似ている、と倉嶋さん。さまざまな苦難を乗り越え、人生の小春日和を迎えた人の白髪は、男女を問わず美しい。


11月21日のこよみ。
旧暦の10月17日に当たります。みずのと とり 六白 友引。
日の出は6時43分、日の入りは17時00分。
月の出は18時14分、月の入りは8時11分、月齢は16.2です。
潮は大潮で、干潮は高知港標準で0時35分、潮位10センチと、12時45分、潮位86センチです。
満潮は7時15分、潮位175センチと、18時20分、潮位175センチです。

11月22日のこよみ。
旧暦の10月18日に当たります。きのえ いぬ 五黄 先負。
日の出は6時44分、日の入りは17時00分。
月の出は18時59分、月の入りは9時07分、月齢は17.2です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で1時06分、潮位11センチと、13時15分、潮位91センチです。
満潮は7時49分、潮位170センチと、18時46分、潮位171センチです。

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