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2021.11.20 08:00

【大谷選手MVP】歴史的偉業をたたえたい

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 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手がア・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。
 日本選手が輝くのは2001年のマリナーズのイチロー選手以来、20年ぶり2人目の快挙だ。
 投打の「二刀流」による歴史的な活躍で、日米の野球ファンが「SHO TIME(翔タイム)」に酔いしれたシーズンだった。
 事前からMVPは間違いなしと言われ、結果は満票で文句なしの選出だった。成し遂げた偉業に心から敬意を表したい。
 大谷選手は18年にエンゼルス入りし、1年目に新人王に輝いた。2年目は右肘手術を受け打者に専念。昨季は故障で開幕早々に二刀流を断念し、今季は完全復活できるのかに注目が集まった。
 当初は二刀流の再挑戦に懐疑的な声もあったが、瞬く間に覆した。投手で9勝2敗、防御率3・18、156奪三振。打者では打率2割5分7厘、リーグ3位の46本塁打、100打点、26盗塁の結果を出した。
 ベーブ・ルースが1918年に成し遂げて以来の同一シーズン「2桁勝利、2桁本塁打」にはあと1勝届かなかった。
 故障せず最高のパフォーマンスを発揮するため、計り知れない努力を重ねているはずだ。大谷選手は睡眠や食生活を研究し、スポーツ科学の勉強にも熱心なことで知られる。
 元気に声を出す、一生懸命走るなど、小学生の頃にノートに書いた野球上達の心掛けを今も続けている。
 米国内で反響を呼んだのが、グラウンドやベンチでさりげなくごみを拾う姿だ。「一流の振る舞い」「子どもの模範」と称賛が広がった。
 このごみ拾いも、花巻東高校の野球部監督から「人が落とした運を拾うんだ」と教えられて以来、人格を磨く行為として欠かさないという。
 全ては、もっと野球がうまくなりたい―。その一念につながる。
 大谷選手は生き生きと、実に楽しそうにプレーする。ベーブ・ルースの名言をほうふつとさせる。「野球は昔も今もこれからも、私にとって世界で最高のゲームなんだ」
 米国で野球は特別なスポーツである。人々の思い入れは強い。その国で大谷選手が熱く支持される理由は、別格の活躍はもちろん、ひたむきに努力する「永遠の野球少年」のような姿に心奪われたからではないだろうか。
 かつては日本選手に遠かった大リーグへの道。95年の野茂英雄さんを皮切りに、イチローさんや松井秀喜さんらが実績を積み重ねた。その一つの到達点として、大谷選手が「二刀流」で米球界の歴史を変えたことも感慨深い。
 野球ファンに限らず、新型コロナウイルス禍の自粛生活において、大谷選手の活躍を心の支えにした人は多いだろう。非常時の人々に与えた励ましの大きさも特筆される。
 大谷選手は「生涯大リーグ」の思いを口にしている。今後も目が離せない。野球の歴史をさらに塗り替えるような飛躍を見せてほしい。

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