2021.11.07 08:40
【動画】土佐鳥瞰紀行(56)瓶ケ森一帯 きらめく錦絵の尾根
カサカサ…。落ち葉を踏みながら山を登る。麓ではまだ青かった木々の葉が、尾根に近づくにつれて色づいてくる。
ササ原に出ると視界が開けた。青空には筆で引いたような薄い筋雲。振り返れば、晩秋の低い陽光に照らされ、山々が輝いていた。
高知県と愛媛県にまたがる石鎚山系の尾根。標高1897メートルの瓶ケ森を筆頭に、1500メートル以上の山がずらり連なる。
「10月末から急に紅葉しました」とは、瓶ケ森に抱かれるように立つ「山荘しらさ」(吾川郡いの町)の従業員さん。ササ原の黄緑やモミの濃緑が、カエデやブナ、ナラのきらびやかな赤や黄色を一層引き立てる。山は錦絵のようだ。
山の頂近くに延びる町道瓶ケ森線・瓶ケ森西線(通称UFOライン)では平日にもかかわらず、県外ナンバーの車やバイクがぞろぞろ。思い思いの紅葉狩りを楽しんでいる。
山の秋は駆け足。紅葉が一息つけば、お次は霧氷がきらめくシーズン。そして雪が降り、11月末ごろからは山荘も町道も冬季閉鎖し、山は静まる。(佐藤邦昭)