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2021.11.05 08:36

おむつ「園で処分」15市町村、「持ち帰り」12市町村 高知県内公立保育所【なるほど!こうち取材班】

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表・宮川優希

表・宮川優希

 保育園に通わせている子どもの使用済み紙おむつは、園で処分してくれないの? 高知県内のある母親のそんな疑問を聞きつけた「なるほど! こうち取材班」(なるこ取材班)が、公立保育施設がある県内自治体に聞いたところ、「持ち帰る」が12市町村、「園内で処分」が15市町村と対応がまちまちな現状が分かった。

 県中部の母親(41)の子どもが通う保育所は、保育士が袋にまとめた使用済み紙おむつを保護者が毎日持ち帰ることになっている。しかし、前に利用していた園では処分してくれていた。「汚物を持ち帰るのに抵抗感がある。でもお世話になっている先生に理由を聞きにくくて…」

 取材班は別の保護者にも尋ねてみた。長男を2歳の時から公共バスで送迎する高知市の母親(44)は「特に夏場は臭いが周りの迷惑にならないか気になって。帰りにスーパーに寄る時も手元からモワッと…」。一方、「えっ、うちは園で処分してくれるよ」と驚く人、「持ち帰りは衛生面で嫌だったので、処分してくれる園を調べた」と言う人もいた。

「昔から」続く
 「持ち帰り」か「園内処分」か―。公立の保育所・認定こども園がある32市町村の担当課や園に電話で問い合わせると、回答は二分した=表参照。

 「園内処分」をしている市町村は、「臭いや衛生面のため」「都会と比べて園児数も少ないので昔から処分している」などと説明。「持ち帰り」の市町村は「保護者に便の内容や回数を把握してもらうため。使った分の紙おむつを補充してもらっている」「昔からそうしている」などの理由を挙げた。両方を採用する市町や、おしっこのみ「持ち帰り」のケースもあった。
専用のごみ箱を置き、園内で回収・処分している保育所(高知市春野町平和の春野平和保育園)

専用のごみ箱を置き、園内で回収・処分している保育所(高知市春野町平和の春野平和保育園)


 高知市は公立保育所26園のうち旧春野町立の6園のみ「処分」しており、それ以外は「持ち帰り」。保護者の意向を聞いて布おむつも使っている。

 現在、子どものおむつ外しは2、3歳ごろとされ、一昔前より遅い傾向がある。「処分」の場合は大規模園ほど大量のごみ対応が必要で、「業者が回収に来るまでごみを置く場所を構える必要がある。臭いの問題もあって処分に切り替えるのは難しい」と指摘する保育関係者もいる。

切り替え
 保育施設で使い終わった紙おむつの扱いで国や県の統一的なルールはない。保育所サポート事業の「ベビージョブ」(大阪)が今年行った調査では、首都圏と関西圏の自治体の47%は「持ち帰り」だが、東京23区は全て「園内処分」など地域差がある。

 ただ、感染症対策や保護者の利便性を考慮して園内処分に切り替える事例も増えているようだ。

 四国では松山市が本年度、1754万円の予算をつけ、公立・民間園ともに「園内処分」を進め始めた。

 県内でも、土佐市ではここ10年弱の間に全ての公立園で「処分」に転換した。今年3月まで「持ち帰り」だった土佐清水市内の公立園も、4月から「処分」に。市こども未来課は「ビニール袋にまとめるなど保育士の手間がかかることや、感染症の予防を考えた」と説明する。

 保護者側の「園内処分」へのニーズと、処分費用やスペースなどの課題。両者の兼ね合いで決まっていく紙おむつ対応は、市町村や園の運営哲学をうかがう一つかも。それぞれの園の〝当たり前〟を考え直してみては?(松田さやか)

高知のニュース なるほど!こうち取材班 子育て

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