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2021.11.03 08:26

【2021衆院選 高知】与野明暗 戦い総括(上)与党 次代の基盤に布石

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 10月31日投開票の衆院選は、与党が絶対安定多数を確保した。県内2選挙区でも中谷元氏、尾﨑正直氏の自民党勢が野党共闘候補に比例復活を許さない圧勝で、再び自民が県内議席を独占。与野党の明暗が分かれた県内の戦いを振り返る。

当選が確実になり、笑顔で万歳する尾﨑正直氏(10月31日、高知市上町2丁目の城西館)

当選が確実になり、笑顔で万歳する尾﨑正直氏(10月31日、高知市上町2丁目の城西館)

■ニューリーダー
 「今後のさらなる県勢浮揚へ、今度は国政から後押しする!」

 31日夜。高知2区で早々と当選を決めた自民新人の前知事、尾﨑正直氏が両手を高々と掲げた。自民前職の山本有二氏を破った野党統一候補を寄せ付けない圧勝劇。党の古参は「高知の自民もこれでしばらく安泰だ」と“ニューリーダー”の誕生に目を細めた。

 自民県連にとって今回の衆院選の至上命令は2区の議席奪還。その中で浮上したのが、捲土(けんど)重来を期す山本氏と、知事からの転身を目指す尾﨑氏の公認調整だった。

 県連の判断は早かった。問題が浮上して2カ月後、尾﨑氏の擁立を党本部に上申。そこには目先の勝ち負けだけでなく、「将来にわたり自民議席を盤石にする」(梶原大介・県連幹事長)との中長期的な視点があった。

 尾﨑氏は決戦に向けて支援の網を張り巡らせ、地方議員や党支部も呼応。不安があるとすれば山本支持者らの離反だったが、山本氏は当選確実な比例単独1位に処遇され、杞憂(きゆう)に終わった。果たして、知事時代の高い県政満足度がそのまま、沿道の声援、街頭演説の人だかり、大量得票となって表れた。

 山本氏が比例で“当確”になったことで、自民勢は躊躇(ちゅうちょ)なく「比例は公明」と呼び掛けられるようになり、自公の選挙協力もうまく機能した。公明党の県内比例得票は前回より約600票減ったが、県本部の黒岩正好代表は「支持者が高齢化する中で微減にとどまった。信頼関係の上に自公協力が機能した」と総括する。

■自民変わる?
 高知1区で11選を期した中谷氏も盤石の戦いぶりだった。公示後、県外への応援で5日間不在だったが、10期31年で築いた支持基盤をフル動員。初めて10万票超の票を得た。

 政権に苦言を呈してきた中谷氏の姿勢もプラスに働いた。

 今回、争点の一つになったのが、8年9カ月にわたった安倍・菅政権の評価。その負の側面として「官邸1強」が生むおごりや忖度(そんたく)、説明責任を果たさない姿勢があり、世論調査では安倍・菅路線の転換を求める声が多数を占めた。

 そうした中で「謙虚に正直に説明し、信頼を取り戻す」とする中谷氏の訴えは説得力を伴った。投じられた票には、衆院選直前に発足した岸田政権によって自民の姿勢が変わることを期待した民意が少なからず含まれていたとみられる。

 ただ、自民がその期待に応えるかどうかは見通せない。比例代表で苦もなく議席を得た山本氏は、選挙結果が出た1日、本紙のインタビューにこう答えている。

 「安倍・菅政権は国政選挙で全勝している。保守として守るべきものを守ってきたという国民の評価があるからです。説明責任は別の問題です。国民による政治家と政権運営の評価は(勝利という)選挙結果。マスコミ評価とは違います」(衆院選取材班)

高知のニュース 政治・選挙 2021衆院選 高知 与野明暗

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