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2021.10.28 08:40

魚信 はっぴぃ魚ッチ 村越正海さん、高知でハマる 浦戸湾の伝統「ハイカラ釣り」絶賛

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自作の「ぎり竿」を気持ちよく曲げる村越正海さん=左=と夢枕獏さん=中央=ら(高知市の浦戸湾)

自作の「ぎり竿」を気持ちよく曲げる村越正海さん=左=と夢枕獏さん=中央=ら(高知市の浦戸湾)


 先週の本欄で、豪快なマグロゲームの魅力を語ってくれたプロ釣り師の村越正海さん(63)=小田原市。高知を訪れたお目当ては、2年前に初体験してはまったという、浦戸湾伝統の「ハイカラ釣り」だった。数々の大物を仕留めてきた百戦錬磨のカリスマは、なぜ古風でシンプルなハイカラにひかれたのだろう。

 ◇ 

 ハイカラは「ぎり竿(ざお)」と呼ばれる短めの竹竿を使い、手で糸をたぐる。糸の先には、重りと一体になった針が一つ。生きエビを付け、キビレやエバ、ヒョウダイを狙う。

 村越さんはなんと、海辺で切った竹で2年かけてぎり竿を6本も自作して乗り込んできた。

マダイをゲット。このほか、チヌ、キビレも。「ヒョウダイが来ればグランドスラムだったのに…」

マダイをゲット。このほか、チヌ、キビレも。「ヒョウダイが来ればグランドスラムだったのに…」

 ―そんなに楽しい?

 「めちゃめちゃ、面白い。だから竿も作ってきたけど、飛行機に預けたロッドケースの中で折れちゃったんだよ。何とか2本生き残ったけど、どうせなら大物を掛けて折りたかったなあ」

 ―なぜ竿を作ろうと?

 「僕は、作れる限りは道具を作る。そこまでやって初めて、一番楽しくなる。作っている間も楽しいわけ。竹竿のぬくもりはいいよねえ。次はもっと細いのを作るぞ」

ぎり竿とハイカラ針。道具は実にシンプル

ぎり竿とハイカラ針。道具は実にシンプル

 ―ハイカラの魅力って何でしょう?

 「1対1。魚と人間が対等ということ。リールのギア比を使えないし、折れない竿ではない。そういう『対等さ』。今は釣り人があまりに有利で、魚がかわいそうって思うよ。ソナーで追われ、魚探で水深も分かって。縦にも横にも逃げるとこがない。そういう中で、昔の人たちの釣りを味わえるのがハイカラ。もっと効率のいい道具はあるけど…」

 ―味わいが落ちる?

 「そうそう。味わいというのは釣りにすごく重要。そこを受け入れるようになってほしい。今は道具の進化により、かえって釣り師の技術が下がっている。道具がいいから、結果はいくらでも出せるけどね」

 和船で浦戸湾に出た村越さんは、小説家の夢枕獏さんと一緒にハイカラを満喫。マダイやキビレの引きに、自作竿は美しい弧を描いた。カリスマ釣り師と大作家はそのたびに「お~っ」「でかい!?」と声を上げた。

 ―失礼ですが、少年のようにはしゃいでいましたよね。

 「すごいよ。びっくりするぐらいいい釣りだなあ。難しくないし、ハイカラという響きもいい。浦戸湾という素晴らしいフィールドがある。当たりも多いよねえ」

 ―ハイカラの起源は大正初期とも。歴史もある釣りです。

 「釣りは文化だと思ってる。だから歴史をとことん掘り下げ、原点が分かれば再現したい。ハイカラの歴史もずいぶん調べたけど、起源ははっきりしない。今と同じ針が100年前にあったとは思えなくて。あの丸い重り付きの針は和歌山にないし、(外房の)大原にもない。どっかで大きく変わったと思う。ハイカラ針って、本当はもっと違うものがあるんじゃないか…なんて追っかけるのが好きなんですよ」

 ―ハイカラ釣りに関わる人は高齢化し、継承が課題です。

 「熊野川には和船の保存会があり、自治体も協力している。飾り物ではなく、観光に使っている。ハイカラのすごいところは、戦力として竹竿が生きているところ。そういう釣りは多くない。竹竿とセットで発信するのがいいと思う」(聞き手=本紙・ハチ)

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