2021.09.25 08:00
小社会 サンマの顔
食の季節があいまいになる現代に、秋という旬を確かに守っている。七輪(しちりん)でもうもうと煙を出しながら焼くもよし。魚焼きグリルに放り込んでおくもよし。〈荒海の秋刀魚(さんま)を焼けば火も荒ぶ〉相生垣瓜人(あいおいがき・かじん)。
熱々を皿に取り、ユズやスダチ、大根おろしを添えて新米とともに豪快にかぶりつく。小骨も気にせずはらわたの苦味のうまさにも、いつか気がつくときがくる。
戦後の苦しい闘病生活に耐えつつ、品格を失わなかった石田波郷にも、サンマの一句がある。〈風の日は風吹きすさぶ秋刀魚の値〉。先の大戦、敗戦の年。国民等しく飢餓の中にあったときの句だという。闇市だろうか。サンマの値もその日の風のように吹きすさんで、高値を呼んでいる。荒涼とした風景が浮かぶ。
ことしもスーパーに新サンマが出始めて、秋の到来を告げる時季がきた。近年、サンマの記録的な不漁を聞かされて、塩焼きファンの胸の内もかき乱されていることだろう。おいしくて安価な、胃袋に優しい大衆魚のイメージが揺らいでいる。
優雅なサンマの姿はその裏側に、荒々しい一面を秘めているのかもしれない。鎮めるのは人間の資源保護への努力だろう。
9月25日のこよみ。
旧暦の8月19日に当たります。ひのえ ね 九紫 友引。
日の出は5時56分、日の入りは17時59分。
月の出は20時26分、月の入りは9時36分、月齢は18.1です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で1時55分、潮位48センチと、13時58分、潮位82センチです。
満潮は8時12分、潮位180センチと、19時54分、潮位184センチです。
9月26日のこよみ。
旧暦の8月20日に当たります。ひのと うし 八白 先負。
日の出は5時56分、日の入りは17時58分。
月の出は21時00分、月の入りは10時33分、月齢は19.1です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で2時27分、潮位50センチと、14時23分、潮位95センチです。
満潮は8時50分、潮位169センチと、20時15分、潮位177センチです。