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2021.09.23 08:00

【米中の国連演説】新冷戦回避へ対話重視で

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 国連総会の一般討論演説が始まった。グテレス事務総長は冒頭、気候変動問題や新型コロナウイルスに対応するため多国間協調を呼び掛けた。それには相互不信の払拭(ふっしょく)が重要としつつ、米中対立を冷戦よりはるかに予測不能で、深刻な課題と位置付けた。
 その米中双方に、首脳会談が模索される状況下で相手側を刺激しすぎるのは得策ではないという判断が働いたのだろう。初めての国連演説に臨んだバイデン米大統領は名指しの中国批判を抑えながら、「新冷戦もブロックに分かれた世界も求めていない」と訴えた。
 一方、ビデオ形式で演説した中国の習近平国家主席は、「ウィンウィン(相互利益)の協力に基づいた新たな国際関係を構築する必要がある」と述べた。両国の共存へ対話が必要との認識を示した形だ。
 そうした中、気候変動への新たな取り組みを米中が打ち出したことは注目される。
 バイデン氏は、地球温暖化対策を巡る発展途上国への資金支援の増額を表明した。習氏は、海外で新たな石炭火力発電所の建設を中止する考えや、途上国への二酸化炭素(CO2)排出が少ないエネルギー開発の支援強化を掲げた。
 主導権を握りたいという戦略的な思惑がにじむが、一層の協力が欠かせない分野であることは間違いない。先進国から途上国への資金支援はこれまでも約束されたものの、完全には実施されていない。新たな公約表明は、脱炭素対策の強化へ向けた国際交渉の弾みとしたい。
 ただ、中国国内のCO2排出削減目標が従来方針のままでは説得力がない。自国の努力を後回しにするような姿勢では、国際社会から厳しい視線が向けられよう。
 安全保障や人権、経済を巡る対立の溝は埋めがたい。
 中国が影響力を強めるインド太平洋地域に関して、バイデン氏は米軍のアフガニスタン駐留終了により、この地域に焦点を移すと表明した。軍事力を使った領土変更の動きには同盟・友好国と共に立ち向かうと訴え、中国による東・南シナ海での現状変更の試みをけん制した。
 これに対し習氏は、「小さなサークルの形成」などの表現で日米、インド、オーストラリア4カ国の枠組み「クアッド」や、米英、オーストラリア3カ国の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」に触れた。対中包囲網への警戒感は強い。
 バイデン政権は多国間主義を掲げ、国際協調体制づくりを進めてきた。ところが、米軍のアフガン撤退を急いだことで大きな混乱を招き、各国から非難された。オーカスを巡り潜水艦開発計画を一方的に破棄されたフランス側が強く反発している。国際社会のバイデン政権への評価もまた厳しくなっている。
 中国との向き合い方は日米でも異なる。貿易や安保を想定した冷静な思考で、日本独自の立ち位置を探る必要がある。それが米中対話の新たな局面づくりに役立つ。

高知のニュース 社説

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