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2021.09.09 08:00

【JA高知で着服】組織風土の改善を急げ

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 JA高知県でまた不祥事が発覚した。仁淀川地区と高知地区の職員が合計5千万円以上を着服したと発表した。さらに被害額が膨らむ可能性もあるという。
 2020年10月にはブランド米の仁井田米で偽装表示が、今年8月にもユズ加工品で賞味期限切れの原材料を使った問題が判明している。現状、自浄作用はうかがえない。組合員の目が厳しさを増すのも当然だろう。組織の立て直しが急がれる。
 仁淀川地区で共済普及を担当していた課長級職員は11年10月から計80回、無断で他人名義の共済契約を解約したり、貸付書類を偽造したりして4470万円余りを着服した。
 春野営農経済センターで購買を担当していた契約職員は17年1月から99回、返品処理や端末に代金を入力しないといった手口で計569万円を着服している。
 このほかにも、中村支所の元職員が貯金証書を偽造して着服。県警に有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕されている。
 いずれも単純な方法だが、長期間にわたり多数回の着服行為が見過ごされてきた。発表分の2件は組合員から「身に覚えのない契約がある」などと問い合わせを受けて、問題が発覚している。
 金銭を巡る不祥事はもちろん、職員個人のモラルに起因しよう。しかし、似通った構図の中で相次ぎながら、組織内のチェック機能が働かなかった点は看過できない。
 同じ職員が長年、同じ業務を担当し続ける。そうした状況の回避は不正防止に関する基本中の基本といってよい。問題が起こりやすい環境を放置してきたことは、運営の在り方が問われても仕方があるまい。
 JA高知県の組織風土が問題視されたのは、今回が初めてではない。仁井田米の偽装では現場任せの運営で食品表示法など多くの法令に抵触する状態を是正できず、組織トップの引責辞任につながった。
 れいほく柚子加工場の期限切れ原料の使用も製造管理者の指示だったとされる。現場任せによる法令順守や内部統制の欠如は不祥事のたびに指摘されてきたはずだ。
 課題の洗い出しや具体的な再発防止策がどれだけ徹底されたのか、疑問を禁じ得ない。
 JA高知県は、県内JAの大半と県域組織を統合する形で19年1月に発足した。旧組織の長所や短所を融合するのは決して容易ではなかったろう。ただし、一つの組織としての存在感が問われる時期をもう迎えている。
 支所・出張所を現在の72から59に、購買店舗は96から73へと23年度までに再編する計画も公表している。信頼を失ったまま合理化を進めていけば、組合員との距離も広がりかねない。
 JAは多くの組合員にとって、今も欠かせない存在に違いない。地域社会のインフラという側面も持つ。そのメリットを改めて実感してもらえるよう、改善を積み重ねていく必要がある。

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