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2021.04.26 08:33

心を映す空の色、中村達志が4年ぶり個展「そら模様」 高知市

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中村達志の個展でひときわ目を引く大作「兆」(高知市入明町の「おうちスペースⅰ」)


 土佐市の画家、中村達志の4年ぶりの個展「そら模様」が高知市入明町の「おうちスペースⅰ」で開かれている。日々描きとめた空の絵を中心に60点余りを展示。30日まで。

 1967年高知市生まれ。追手前高校卒業後、東京芸術大学、同大学院で日本画を学ぶ。2002年に帰高し、県内外で個展を開いている。

 中村は毎日の散歩時、スケッチブックに「雲日記」を描いており、それが20年近くなることから今回、まとまった形で発表する場を設けたという。

 「空は子どもの頃から親しんでいるもので、そこには絵にしたい要素があります。例えば空は日々移ろい変わるし、自分の気分によっても違って見える。それが作品では形や色に反映されてくるところが楽しい」

「雲間からの光」


 今回の作品は以前の作品に比べて柔らかく見えるが、それは技法が異なるため。岩絵の具やアクリルで描いていたものを、今回の作品ではシナベニヤにデッサンや着色をした後、典具帖紙(てんぐじょうし)を張ることで光の反射が抑えられ、包み込むような温かさが感じられるのだという。加えて、テンペラ画という何層にも塗り重ねる技法によって、明るく美しい描線が生まれた。

 小品が多い中で縦1・1メートル、横2・17メートルとひときわ目を引くのが「兆(きざし)」。コロナ禍で世界中が先行き不安を感じる今だからこそ、雲を通して見える力強い光がいい兆しになれば、との思いが伝わってくる。「雲間からの光」は、太陽の光が雲に反射することで温かく柔らかい色の世界が感じられる。ふわっと空に浮いた感じの「雲」は、何の制約もない自由をイメージさせる。

 このほか、身近な山のさまざまな表情を描いた「山九題」、花や路面電車を描いた作品もあり、見ているだけで心が和んでくる。(池添正)

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